平成30年7月豪雨災害以降。国・県・市が一つとなって急速に進めてきた治水事業。
そのうち国の管理区間で行われている堤防の嵩(かさ)上げや新しい堤防の整備が令和5年度末に完成を迎えようとしています。(資料提供…国土交通省)
■肱川緊急治水対策
豪雨災害により甚大な被害を受けた肱川において、国・県・市が連携したハード・ソフト両面の対応を3段階で進めることによって、再度災害防止に取り組み、治水安全度の向上を図っています。
◇豪雨災害後10年間での主な治水事業の流れ
1.緊急的対応
樹木伐採やダムの操作規則変更
↓
2.おおむね5年後←(今ここ)
堤防の整備や嵩上げ
↓
3.おおむね10年後
ダムの改良やさらなる河川整備など
■河川激甚災害対策特別緊急事業
国土交通省では、平成30年7月豪雨と同量の雨量でも肱川から水があふれないよう、柚木地区から下流の15カ所で合計6.9kmにわたって堤防の築造(築堤)や嵩上げを行う「肱川河川激甚災害対策特別緊急事業」を急ピッチで進めた結果、令和5年度末までに堤防が完成する見込みとなりました。
〇2月4日(日)に総合福祉センターで、国管理区間の堤防完成式が行われました。
(写真は参加者と和太鼓演奏を披露してくれた粟津小学校児童によるくす玉割り)
※写真は本紙をご参照ください
■全ての暫定堤防・堤防未整備地区が解消(国管理区間)
暫定的な堤防として堤防の高さが不足していた地区では嵩上げが行われ、計画されていた堤防の高さまで整備されました。
また、国の管理区間に残されていた堤防未整備地区(下流の惣瀬地区から如法寺地区までの合計8地区)でも新たに堤防が整備されました。
堤防が必要な全ての地区で、地区ごとのさまざまな地理的条件などに対応した形状や施工方法による工事が行われました。
■上下流バランスを考慮しながら事業を実施
東大洲地区などの大洲盆地内は資産が集積しているため、治水安全度の向上が望まれていました。しかし、上流の堤防を優先して整備すると、下流の堤防が未整備となっている地区の浸水被害が増加してしまいます。
そのため、上下流の堤防高のバランスを考慮しながら、下流の被害を増大させないように、惣瀬地区や小長浜地区などの下流から整備を進めた後に上流側へ整備を進めました。
■山鳥坂ダムの建設も進んでいます
洪水調節や流量の正常な機能を維持することを目的として、肱川支流の河辺川で進んでいる山鳥坂ダム建設事業で、河辺川の流れを一時的に迂回(うかい)させるための仮排水トンネル工事が着手されることとなり、2月4日(日)に起工式が行われました。
仮排水トンネルは2025年度の完成を目指しています。
次のページでは今回整備された国管理区間での工事箇所を紹介します。
■工事箇所一覧(国管理区間)
※進捗状況などは取材時のものです。
※詳しくは本紙をご参照ください
(1)の惣瀬地区は令和元年度に築堤工事が完成しています。
(2)小長浜地区
・小長浜地区は、肱川の右岸側河口から4km付近に位置します。
これまでは堤防が無い無堤地区でしたが、令和5年に堤防が完成しました。
(3)加世地区
・加世地区は、肱川の右岸側河口から5km付近に位置します。
これまでは堤防が無い無堤地区でしたが、令和5年に堤防が完成しました。
(9)多田地区
・多田地区は、肱川の左岸側河口から11km付近に位置します。
これまでは計画堤防高より低い堤防でしたが、令和4年度に堤防嵩上げが完成しました。
(11)玉川・只越地区
・玉川・只越地区は、肱川の左岸側河口から17km付近に位置します。
これまでは堤防が無い無堤地区でしたが、令和6年3月末に堤防が完成予定です。
(13)如法寺地区・(14)柚木地区
・如法寺地区(右岸側)および柚木地区(左岸側)は、河口から19km付近に位置します。
これまでは堤防が無い無堤地区でしたが、令和6年3月末に景観に配慮した堤防が完成予定です。
(15)小貝地区
・小貝地区は、肱川と矢落川の合流部付近に位置します。
矢落川合流部右岸側は、これまで堤防が周りより低くなっていましたが、令和4年度に堤防が完成しました。
また、JR橋梁線路からの洪水氾濫を防ぐため、令和4年度に両岸の線路上に洪水時のみ閉めるゲート(陸閘門(りっこうもん))を設置する工事が完成しました。
〇暫定堤防嵩上げ地区
(4)白滝、(5)豊中、(6)八多喜、(7)伊州子、(8)春賀、(10)東大洲、(12)阿蔵
・これまでは堤防が周りより低い暫定的な高さの堤防であり、下流地区の堤防整備に合わせて東大洲地区より下流の6地区は令和4年度に堤防嵩上げが完成、阿蔵地区は令和6年3月末に堤防嵩上げが完成予定です。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>