◆予土線を残したい(令和6年6月7日更新)
6月3日(月)、JR予土線の利用促進と路線存続を目的として、愛媛・高知両県や沿線5市町の関係者などで組織している「予土線利用促進協議会」の総会が、松野町役場で開催されました。もともとこの協議会は、愛媛県と高知県でそれぞれ別の組織として利用促進に取り組んでいましたが、国やJR四国に対しより強く予土線の存続を訴えるため昨年10月に一本化したもので、松野町は沿線5市町の真ん中にあることもあって、私がその初代会長に任命されています。
総会では、令和5年度に実施した利用促進事業の実績報告や収支決算、令和6年度に計画している事業や収支予算など6つの議案が審議され、すべて提案のとおり承認されました。
来年度に計画している事業の主なものは、予土線全線開通50周年を記念したフリー切符の発行やシンポジウムの開催、ビールトロッコなど企画列車の運行、予土線主要各駅の駅前広場でのマルシェの開催などのほか、予土線を一番利用している高校生にもPR活動に参画してもらうようにしています。
ところで、赤字ローカル線の存廃問題は、この予土線に限ったことではなく全国的な問題となっています。このため国は、関係自治体と鉄道事業者で路線のあり方を協議する「再構築協議会」を設置する動きを強めていますが、私はこのやり方は少し性急で強引ではないかと思っています。150年にわたって全国津々浦々に敷設された鉄道ネットワークは、経済発展を担うインフラとして国が整備してきたものです。また、今後も脱炭素社会の実現が求められ、バスやトラックの運転手不足や交通渋滞が頻発する社会情勢の中で、その存在価値は見直されています。そんな歴史と可能性を持つ地方鉄道を、時代遅れの遺物として切り捨てて、陸上輸送は道路一択とするのがはたして正解なのでしょうか。
さらに、新幹線のないJR四国は収益構造が脆弱で、沿線市町もコミュニティバスの運行など地域内交通の維持に多額の予算を投入しており、予土線のためのこれ以上の負担は困難な状況です。双方がこのような状況なので、たとえ再構築協議会で頭を突き合わせて議論しても、前向きな解決策が得られるとは思いません。加えて、国鉄民営化を後押しした「人口増加・経済成長・高金利」という3つの条件がことごとく崩壊した中で、民営化そのものが正しい選択だったのか検証する必要もあると思います。
このような理由から私は、赤字ローカル線の存廃を鉄道事業者と自治体に丸投げする再構築協議会の設置は、国としての責任放棄だと考えています。国道・県道・市町村道にそれぞれ役割分担があるように、四国循環路線の一部である予土線は、国の交通施策の根幹として国の責任で維持すべきであるとも考えています。もちろんこのような考え方に批判的なご意見も多々あろうかと思いますが、予土線の地元自治体としては、廃線になると困るという地域の皆さんが現に大勢いらっしゃる以上、存続を決してあきらめずに活動を続けていくつもりです。
みんなで予土線を守りましょう!
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