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令和版 山城作業日記 河後森城からこんにちは -2-

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愛媛県松野町

松野町の文化財の特徴を一言で表現するなら、それは「境界」がキーワードだと言ってよいのかもしれません。例えば、江戸時代に伊予と土佐の往来で栄えた松丸街道沿いの建造物群はその代表ですが、重要文化財に指定されている目黒山形関係資料もまた宇和島・吉田両藩の村々による山の境目争いが原因となって製作されています。さらに奥内の棚田に広がる景観も、言わば山村と農村の接するような場所で、独特の生業が維持されてきました。このように「境界」がキーワードとなって、特色ある町の文化が形成されています。
そして、これはもちろん河後森城でも同じことが言えます。城が築かれていた戦国時代、この地域はいまと変わらず予土国境に位置しており、特に長宗我部(ちょうそかべ)氏に代表されるような土佐方面からの脅威(きょうい)に絶えずさらされていました。
同じように境界に位置し、強大な勢力に囲まれた他の地域では、周辺から入ってくる情報を敏感に察知しながらも、実際は風見鶏(かざみどり)のように振る舞い、ある時は貢ぎ物をしたり、ある時は人質を出したりと生き抜くためにたくさん知恵をしぼり、工夫を凝らしていました。境界での難しい舵取り役を任された河後森城主の苦悩は計りしれないものがあります。(続く)

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