・松野町長 坂本 浩
明けましておめでとうございます。町民の皆さまには、穏やかな新春をお迎えのこととお喜び申し上げます。旧年中は、町政運営に際し格別のご理解、ご協力を賜り、誠にありがとうございました。本年も引き続きよろしくお願いいたします。
また、先の町長選挙におきましては、皆さまの温かいご支援により、無投票という形でご信任をいただき、三期目をスタートさせていただいたところです。その責任の重さを痛感するとともに、選挙活動中に拝聴したご批判やご叱責に対しては、ひとつひとつ真摯に向き合い、解決していかなければならないと、自戒の念を強くしているところです。
さて、全国各地で人口が減少し、地方の農山村や漁村では、集落が消滅するおそれも出てきています。本町でも、産業の衰退や雇用の減少などにより人口が減り続けていて、地域の活力が徐々に失われつつあります。しかし、先人から受け継いだこの大事なふる里を、消滅させるわけにはいきません。この松野の地で、これから先五十年後も百年後も穏やかな暮らしが続き、貴重な自然環境や歴史文化、産業や生活が次の世代に引き継がれ、そして今を生きる町民の皆さまに幸せを実感してもらえるように、行政がその責任をしっかりと果さなければなりません。
このため、私はこれまでの二期八年の間、「小さな町の大きな挑戦」を町政の基本理念とし、町内の各部落をまちづくりの基礎単位として位置づけ、小さな町だからこそ可能な地域おこしに取り組んできました。いやいや、大きな挑戦って何もしてないよね、というご批判もあるかもしれません。しかし、この「大きな挑戦」というのは、大規模な投資による基盤整備や一過性の集客イベントの開催ではなく、小規模な基礎自治体ならではの生活に身近な課題をさまざまな行政分野で連携させながら、町民の皆さまと協働で解決していくことです。
その信念に基づき、部落ごとの住民座談会を復活させるとともに、各部落への権限、財源の移譲を積極的に推し進めてきました。その具体例としましては、本町の総合計画の中に、各部落の地域づくりの指針となる地域計画を登載するとともに、部落の事業や活動の原資として自由に使える「地域づくり交付金制度」を導入、部落が優先順位を決定し実施する「道路等維持管理事業」や「農業農村整備事業」、「協働のまちづくり事業」などを創設、拡大するなど、地域の皆さまが自ら考え実現する取組を、行政がしっかりとサポートする仕組みを作り上げてきました。また、最も存続が危ぶまれる上家地部落については、地元と民間事業者、行政が三位一体となって、養豚と野菜栽培を軸に集落の再生を図るプロジェクトが、着実に進展しています。これから先も、住民が主役、地域が舞台という強いこだわりをもって、森の国・松野町の存続発展、次世代への継承に努めたいと考えています。
その他にも、基幹産業である農林業の多様な担い手確保、仕事と住宅と子育て支援を組み合わせた「移住促進まつのモデル」の推進、南海トラフ大地震を想定した防災減災対策の強化、医療・福祉・保健・介護の連携による地域共生社会の実現、地域経済を担う商工業者への支援、JR予土線の存続と観光まちづくりの推進、ふるさと納税の強化など、まだまだ取り組まなければならない行政課題は山積みしています。しかし、松野町の持つ地域の絆の強さと温かさ、町民の皆さまのふる里への愛情、そして地域外からの応援があれば、必ず乗り越えられると信じています。
松野町は、桃源郷とも言えるすばらしい町です。この場所で穏やかな暮らしがいつまでも続くように、役場職員の総力を結集して、スピード感をもって地域の課題に立ち向かっていく所存でありますので、どうぞ皆さまの温かいご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。そして、本年が皆さまと松野町にとって素晴らしい年になりますようご祈念申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。
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