文字サイズ
自治体の皆さまへ

【特集】未来へつなぐ千町(せんじょう)の棚田(2)

2/39

愛媛県西条市

■高校生も棚田で奮闘中!
3年前に成髙さんによって発足した西条農業高校「棚田チーム」。
課題研究の一環として、今年は主に4人の生徒が活動しています。
▼課題と向き合う
「もともと水路や石垣などの農業土木に興味を持っていました。そこで石垣が形として残っている千町棚田で知識を深めようと思い、チームに入りました」と話すのは学校の農業クラブの会長も務める越智大心さん。「草や木が生い茂り、ひどかったですね」と現地を見たときの印象を振り返ります。
4人で本格的に活動し始めたのは3年生から。活動は「増え続ける耕作放棄地」と「繁殖する放置竹林」をどうするかという棚田の大きな課題と向き合うことから始まりました。「まずは放置竹林の位置を確認し、何十年か前の衛星写真と今の写真を比べて、どれだけ増えたかという調査から始めました」と髙橋幸晟さん。調査の結果、約40年間で3ヘクタール、約4%が放置竹林になっていることが判明。そこで放置竹林の整備を行い、伐採した竹は竹灯籠の制作に活用することにしました。「啓発活動のため、毎年2月にライトアップイベントを行っています。そこで使う竹灯篭の制作を行い、楽しみながら棚田を知ってもらいたい」と、8月には田野地区の盆踊り大会で子どもたちを対象に、竹灯籠制作体験も実施しました。

▼将来へつないでいくために
保全活動を続けていく中で、協力してくれる「人」が必要不可欠だと感じた棚田チーム。今年の目標は、ライトアップイベントなどに向けて草刈りイベント(詳細は本紙9ページ)を行うこと。「あっという間に草が生えるので、皆さんの協力が必要」と越智さん。今後はイベントの詳細を考え、広報活動も行う予定です。
卒業後は進学と就職とそれぞれの道を歩む4人。進学する髙橋さんは「農業教員を目指しているので、農業の知識を深めていきたい。理想は成髙先生の後を継ぐことができれば。ぼくらが続けてきた活動を次の世代につなぎたい」。また、就職する藤本和季さんは「市内で就職するので、社会人になっても棚田とかに来れる環境。先輩も休日とかに来てくれているので、自分もそうしたい」と話します。
成髙さんの理想「後世へつなぐ」。それぞれ関わり方は違いますが、卒業生を含め、次の世代へその思いは受け継がれていきます。棚田チームはこれからも保全活動などを通して、棚田の魅力を発信し続けていきます。

西条農業高校3年生(棚田チーム)
安永拓海(たくみ)さん
越智大心(たいしん)さん
藤本和季(かずき)さん
髙橋幸晟(こうせい)さん

▽南海放送でも特集!
南海放送「NEWSCH.4」では昨年から高校生たちの作業の様子を四半期ごとに放送。
過去の放送動画は、Youtubeで公開中

■卒業後も棚田をサポート!
▽これからも棚田を守りたい!
昨年、西条農業高校を卒業したOBも棚田の保全活動に取り組んでいます。市内企業で働く曽我優斗さんは「やっぱり高齢者が多くて、自分たちみたいな若い人間が積極的に活動していかないと、棚田がなくなってしてしまう」と、学生時代の経験を通じて千町が特別な場所だと感じたからこそ、休日になると成髙先生の誘いで作業を手伝います。ほぼ毎週訪れている伊藤さんは「兼業農家を目指していて、将来的には棚田と祖父母が持っている両方の土地を守りたい」と話します。
後輩たちのサポートもする2人は「成髙先生や山内さんたちと一緒に作業して『ここを守りたい』という思いが強くなった。僕たちや後輩など、若い世代が活動することで、多くの人に千町棚田を知ってもらい、活動する人を増やしたい」と意気込みます。
伊藤誉司史(よしふみ)さん・曽我優斗(ゆうと)さん

■西条高校×京都大学も活動!
西条高校では、京都大学大学院地球環境学堂(地域資源計画論研究室)と連携し「サイエンスキャンプ」を2019年から実施。フィールドワークで千町地区を訪れ、地域にある資源を活用した持続的な地域社会の発展のあり方を考えています。2020年には放置竹林を活用したバンブーグリーンハウス(農業用ハウス)を建設し、研究なども行っています。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU