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【特集】つなぐ

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愛媛県西条市

皆さんの急病やけがの際に通報から現場に駆け付け、迅速に搬送を行う救急車。
普段の生活で見かけることや、サイレンを聞くことはよくあると思いますが、実際に利用したことがある方は少ないのでは。
救急車の年間出動件数は、昨年、過去最多の6476件となりました。
件数が多くなると「救急車が来ない」「搬送先がない」といったケースも起こりえます。
大切な人の命を救うために、今、一人一人の適正な救急車の利用が求められています。

■「もしも」は突然
あなたは119番通報をしたことがありますか。
家にいるとき、働いているとき、さまざまなシーンで突然起こるかもしれません。
「もしも」のときに救急車が来れることで命がつながります。

「あれほど冷静にいられんかったことはなかった」。一昨年まで小学校教諭として働いていた黒河真由美さん。過去に救急車を呼んだシーンが今でも忘れられないと話します。「畑に行ったときに、農作業車がひっくり返って、頭から血を流しているおじいさんが倒れていて。すぐに119番しようとしたけど、ドキドキして番号が打てなかった」。周りには誰もいない状況。焦りが消えなかったと振り返ります。「やっと通報できたけど、とにかく『早く来て』という思いが先行。冷静でいられなかった。でも今振り返ると、消防の方が冷静に対応してくれたので、落ち着いて、場所も状況も明確に伝えることができたと思います。今でもあの時のやり取りが耳に残っています。感謝ですね」。その後、まもなく救急車が到着し、救急搬送されました。
「今でも現場をみると緊張するし、思い出します。それと同時に救急医療の大切さを実感しています。とにかく現場では『落ち着いて119』『その後は消防職員の指示に従う』、そして周りに助けを求め、一人でも多くの人で対応することが大切です」。その後も通報経験がある黒河さんは、「タクシー代わりに使っている人がいると聞くけれども、救急車は緊急時のもの。ほんとに困っている人、命に関わっている人がいるってことを知ってほしい」と緊急時に備えた救急車の適正利用を願います。
黒河真由美さん
主任児童委員。元小学校教諭

■命をつなぐ「救急隊」
軽症など、緊急でない場合に救急車を利用すると一刻を争う傷病者への対応が遅れます。
まずあなたの正しい判断と行動が、救急車の適正利用の「鍵」となります。
▽通報しても救急車がなかなか来ないケースも
「私たちは、目の前の傷病者を、症状を悪化させず、一刻も早く病院に搬送することが第一の目的です」。3人一組で現場へ向かう救急隊。令和4年中の救急対応は、出動件数・搬送人員数ともに過去最多となりました。「高齢化、そしてコロナの影響で救急件数が増加しています」。搬送されたうち、約4割が入院を必要としない軽症患者です。「軽症者の方が多いことが問題。現場に到着後、家族などと相談し搬送しないケースもありますが、通報があると、全て出動します」。救急件数の増加や不適切な救急車の利用があると、必要な救急車の台数が不足し、搬送に要する時間が増えます。「時間がたてばたつほど救命率も下がります。市内での搬送先がない場合は、搬送に時間を要する市外の病院へ行くこともあります。そのため、次の救急にも影響し、悪循環になります」。

▽緊急のときの119
件数が増え続けると、救急車を緊急時に呼べないケースが今後出てくるかもしれません。通報する判断はもちろん難しいですが、相談窓口や休日夜間急患センターなど、ほかの手段を知っておくことが大切です。「通報した際には、まずは落ち着いてください。冷静になるのは難しいかもしれませんが、通信指令員がうまく誘導しますので、聞かれたことを答えてください」。
消防本部では市民が適正に救急車を利用できるよう、医療機関などと連携をして、さまざまな取り組みを進めています。「救急車は緊急時のものです。症状が出たときは早めの相談や、受診を心掛けてください。もちろん、緊急の場合は119番通報してください。私たちが皆さんの命を守ります」。
東消防署 二上健太さん・関口剛史さん

■西条市の救急統計
▽救急車で搬送された患者の割合(2022年)
約64%が高齢者

約42%が軽症患者

出動件数が過去最多の6,476件

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