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自治体の皆さまへ

【特集】コミスク、始まります!(2)

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愛媛県西条市

■対談 地域×学校 地域と学校が一つに 子どもが地域を好きになる
コミスクでは実際にどんな活動をし、どんなメリットがあるのでしょうか。
今、地域、学校それぞれの立場で取り組みを進めているお2人にお話を伺いました。

玉津公民館館長 川上善秋(よしあき)さん
令和3年度コミスクモデル校※の玉津小学校と連携しながら、ちょこボラなどさまざまな活動を実施

神戸小学校校長 石原道代(みちよ)さん
昨年神戸小に赴任。地域の声を集めながら準備を進め、今年度コミスクモデル校※に手を挙げた

※コミスク導入初年度校のこと

▼学校は今、協力を求めている
▽今、教員を取り巻く環境は。
(石原)昨年私が赴任してきたとき、現場に危機感を感じました。人手不足による長時間労働は当たり前、校長自ら授業に入ることも。学校を助けてほしいとの思いで、今年度のモデル校に手を挙げました。
(川上)他の学校も同じような状況だと思います。学校が協力してほしいと手を挙げることで、きっと助けてくれる人がいます。困っていることを外へ発信することで、地域の人も動きやすくなるんよね。

▼地域の人が学校の中へ
▽取り組みの進め方は。
(川上)玉津小では、ちょこっとボランティアという仕組みがあります。できる人ができるときに「ちょこっとだけ」を合言葉に、今は60人ほどのメンバーで活動。学校の掲示板やメールの連絡網で募集をかけて、都合が合えば来てくれます。
(石原)神戸小学校では、昨年夏に保護者や地域の方と、理想の子ども像や地域と学校が一緒にできることなどを考え、学校運営協議会を立ち上げました。その後玉津小を参考にボランティア制度を取り入れ、まだ規模は小さいですが活動を始めています。

▽これまでにどんな活動を。
(川上)授業に入って、学習をサポートしたり、防災を学ぶためにまちの探検をしたり。また、ミシンなど専門的な授業では、30人のクラスを教員が1人で見るのは難しい。そんなときちょこボラを募集したら6、7人集まってくれて、能率よく学習が進み、3時間の授業が2時間で終わりました。
(石原)音楽や毛筆など、専門知識や技術が必要な内容は、詳しい人が入ることで、子どもにとって素晴らしい教育になります。教員が全部調べてやるよりは、教育の質は間違いなく高まります。また図書室の本の修理や家庭科室の掃除など、手が回らないところに来てもらうこともあります。

▼子どもが地元を好きになる
▽改めてコミスクとは何か。
(川上)コミスクは学校だけでなく地域と相互の活性化ですね。地域もいろんな課題を抱える中で、子どもを交えて地域全体が元気になればと思います。
(石原)この活動を充実させることは、地域にとってもたくさんのメリットがあります。人のつながりが増えコミュニケーションが活発になることで、防犯・防災体制がより強くなったり、今まで培ってきた経験や知識を子どものために生かすことが生きがいにつながったり。
(川上)コミスクの目指すところは、子どもたちに地元を好きになってほしいということだと思うんです。地域で豊かな体験を重ねた子どもは、大人になっても愛着のある地元のことを誇りに思います。そのために、地域の人、学校が持つ役割をもう一度みんなで話し合って協力していきたいですね。

■広がる地域の輪
コミスクの取り組みを始めて3年目の玉津小学校。
地域の人が学校にいる風景が、日常になりつつあります。
▼地域より 
▽子どもたちに元気をもらえる
子どもたちが可愛いんだよね。だんだん名前を覚えてくれて、また来てね!と言ってくれたり。そんな子どもの成長の手助けができるのが何より幸せ。本当に毎日ワクワクします。私たちも学校に、子どもに育てられている気がします。また、学校に来ることで自然と知り合いが増えるのも楽しみの一つ。家でじっとしているより面白い。もっともっとこの温かい輪を広げていきたいですね。

▼保護者より
▽ちょこボラさんはよき相談相手
先生には言いづらくても、ちょこボラさんになら相談できることもあるみたい。授業中も分からないところを質問できるようになりました。学校の中に子どもが頼れる人が増えるのは、親としても心強く思います。

■講演会のお知らせ コミスクを一緒に学ぼう
あなたの子どもや孫世代が、地域を支える力をつけるためにお時間をちょっとだけいただけませんか?
大町公民館大ホール 7月4日(火)13時~15時
中央公民館多目的ホール 7月6日(木)19時~21時
対象:子どもの保護者・地域の方など
内容:これまでの地域学校協働活動とこれからのコミュニティ・スクール活動の違いについて
講師:遠藤敏朗氏((一社)コミスクえひめ副代表理事)
※申込不要。直接会場へお越しください

▼講師の先生から
▽目指すのは「地域の学校」地域の子どもは地域で育てる
今まで教員として子どもと接してきて、学校だけで子どもを健全に育むことは難しいと感じています。教室の中だけでは教えられないことも、地域の人が関わって学校の活動をサポートすることで、子どもたちが変わったと感じるときが何度もありました。また、子どもたちが地域のためにできることもたくさんあります。ちょっとした困りごとを手伝ったり、伝統芸能の担い手となったり。そういう経験をした子どもは、何か自分にできることがないかと考えるようになってくれると思っています。
コミュニティ・スクールの考え方を一言で表すと「地域の学校」。子どもだけの学校じゃないよということなんです。少子化や核家族化が進み、地域のつながりの希薄化が全国的にも問題となっている中、コロナでさらに拍車がかかりました。昔は運動会でもわが子を見るのと同じように、いろんな人が見に来て、食べ物を持ち寄ってみんなでつまんでいた。地域が家族のような時代がありました。そんな昔の人のつながりが、これから目指す日本型のコミュニティ・スクールだと思っています。地域全体が子どもを温かく支えてあげる風土を、それぞれの土地にあわせた形で無理なく進めていければいいですね。

遠藤敏朗(としろう)さん
元松山市立雄郡小学校長。愛媛大学教職大学院特定教授などを経て現職。コミスクの普及啓発に力を注ぐ

問合せ:市庁舎新館4階学校教育課
【電話】0897-52-1640

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