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【特集】森は大切な宝物

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愛媛県西条市

■一人一人がふるさとの森を守る
私たちが暮らす西条市は、水や山など自然が豊かなまち。面積の約7割が森林で、その内、約7割は人の管理や手入れが必要な人工林です。
昔は木材需要があり山にたくさんの木が植えられましたが、昭和40年代頃から木材輸入が激増し、需要が激減。所有者不明、担い手不足などもあり森林の整備が遅れています。
いつも目にする緑の景色、森林は水を蓄え、地球温暖化の緩和や自然災害の防止など、私たちが生きるために必要な働きをしています。この役割を守るために、平成31年3月に「森林環境税および森林環境譲与税に関する法律」が施行されました。
今回は森林環境税をきっかけに、森林の現状やそこに携わる人を知り、森の未来を一緒に考えませんか。

■今年度から1,000円負担森林環境税とは…
森林環境税は令和6年度から、全国的に国税として、個人住民税均等割と併せて一人当たり1,000円を市民に負担してもらうものです。令和5年度で復興特別所得税(東日本大震災後に創設された税金)が終了したことに伴い、森林環境税の徴収がスタートするため、税負担が増加するわけではありません。

■あなたの森、手入れできていますか
森林を所有している方には、適切な手入れなどの経営管理を行う義務があります。
令和元年度から始まった「森林経営管理制度」により、自ら経営管理ができない場合には、市町村に経営管理を任せることもできるようになりました。
西条市では、森林所有者への意向確認調査を順次実施していますので、調査票が届いた際にはご回答ください。(下記参考)
ご自身での森林の管理が難しい場合など、森林に関するお困りごとは、西条市林業振興課(【電話】0897-52-1504)まで、お問い合わせください。

《西条市(市町村)が森林所有者の意向を確認》
調査票が届いた方は、今後の管理などについて記入し返送。

●経営管理の委託希望しない場合
森林所有者が自分で、または林業経営者に委託するなど、経営管理を行ってください。
●経営管理の委託希望する場合
・林業経営に向いている森林
市内林業経営者にあっせんを行います。
・林業経営に向かない森林
西条市森林経営管理推進協議会の判断に基づき、西条市が経営管理の委託を受けて、森林整備(間伐)を行います。

■緑の未来を支える、森の守り手
森林資源の持続可能な管理や保護のために使用される森林環境譲与税。
現場で働く人たちに、林業の現状や課題、森林環境譲与税を活用した取り組みや今後期待することを尋ねました。

▽いしづち森林組合
《間伐や植林をすることで、森の力を高める》
いしづち森林組合では、森林経営管理制度により、西条市が森林所有者から管理を委託された森林について、他の林業事業体と共に森林整備を行っています。ここ数年で着実に整備が進み、山の保水力が上がったことで、個人的な感覚ではありますが、雨がたくさん降っても、災害が起こりにくくなったんじゃないかなと感じています。
ただ、人や作業範囲などには限界を感じています。西条市は県内で3番目に森林面積が広いのですが、林業従事者は決して多くありません。また、整備に適していない急斜面の山が多いため、管理が困難です。
そんな中、昨年からは森林環境譲与税を活用したインフラ整備(林道の整備)も可能になりました。草が生えていたら向こうが見えない、路肩が見えないなどの課題も解決され、作業効率も上がっていると思います。それに職員の安全にもつながります。
最近の課題は野生鳥獣による森林被害。特にシカの被害がここ10年ですごく増えていて、伐採後に植えた苗木をすぐ食べられてしまいます。植える作業は時間と手間が掛かるので、何か新たな取り組みを実施することで、解決につながればと思います。
人工林は所有している以上、手入れをしないといけません。私たちも「森林整備を進めていく」というのが一番の目標ですし、そのためには、所有者や境界の把握は必要です。皆さんと一緒に、西条の緑と水を守り続けたいですね。

いしづち森林組合
参事
玉置 康文(やすふみ)さん

▽西条自然学校
《森を守ることは、私たちの「水」を守ること》
昨年は市内小学校6校を対象に森林教室を開催しました。前半は野外で木や森の観察、後半は森の現状をお話しします。子どもたちにとって「森を知る」良い機会になっていると思います。
森林には自然林と人工林の2種類があり、手入れしないといけないのはあくまで「人工林」。西条の森林面積を人口で割ったら一人当たりテニスコート約12面分。所有者が不明な箇所が多くあるので、自分が所有している山を把握し、どうするのか決めると、整備ももっと進むと思います。
西条自然学校では放置人工林の課題に取り組んでいますが、別組織として(一社)西条市水源林保全協会を立ち上げ、放置林を自然林に戻す取り組みも開始しています。水の原点は森。将来に水を残していくためにも、森を守り続けることが大切です。

NPO法人 西条自然学校
理事長
山本 貴仁(たかひと)さん

▽石鎚循環堂
《森づくりの技術を後世に繋ぎたい》
苗木を植える作業は、伐採する作業の3倍の人手が必要です。「伐(き)って→植える」という森を循環させる中で、機械化の進まない木を植えて育てる森づくりの部分が欠けていると思い、そこを担いたいという思いで事業を始めました。私一人で始めましたが、一人二人と共に作業する仲間が増え、現在は事務方を含め9人で事業を切り盛りしています。
昔と比べ育林業は職人の数や技術が低下しており、なんとか私たちが育林業の衰退を食い止める一助になればと思っています。そのためにも一人前の職人を一人でも多く育てる必要があると感じます。
SDGsの考え方が広がったおかげで、循環する林業の在り方が今、求められています。先人たちが育て上げた木材をどう利用して、森づくりを今後どう行なっていくか今、私たちが考えていかなければなりません。石鎚循環堂は森づくりを実際に実行していく職人、技術を維持し、さらに発展させていきたいです。

(株)石鎚循環堂
代表取締役
平川 絢也(じゅんや)さん

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