■第75回 始まりは1本の書棚でした
南吉記念館の前身は「南吉資料室」ですが、そのまた前身があることは皆さんご存知でしょうか?始まりは、南吉の母校、岩滑小学校(旧・半田第二尋常小)の応接室に置かれた1本の書棚です。置いたのは、同校の教諭だった大石源三(おおいしげんぞう)氏でした。地元における南吉研究の第一人者であり、後に南吉顕彰会の事務局長も務められました。
昭和33、4年頃、大石氏は書棚を「新美南吉文庫」(写真(1))と名付け、南吉の童話集や紙芝居、雑誌などを集め始めました。このことを知った南吉の中学時代の同級生や安城高等女学校時代の教え子らからは、南吉の自筆原稿や写真、卒業アルバムなどが寄せられ、文庫は充実していきました。その後、大石氏が同校から異動したことを機に、文庫は岩滑公民館の中へ移設され、昭和52年、岩滑コミュニティセンター開館に合わせて、センター内の一室に「南吉資料室」がオープンしたのです。南吉の貴重な資料にふれられる場所として、南吉ファンや研究者など多くの人が訪れました。
時は経って平成6年6月5日、南吉記念館が同じ岩滑に開館しました(写真(2)/平成6年)。それから30年。現在、当館では、企画展「新美南吉記念館開館30年の歩み」を開催中です。開館前から今までの活動の記録や南吉にまつわる出来事をご紹介しています。ぜひ一度ご来館ください。
※写真は広報紙23ページをご覧ください。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>