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自治体の皆さまへ

誰一人取り残さない 不登校支援(3)

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愛知県大府市

■SPECIAL
ー特別インタビューー
小学1年生の時、担任の先生にたたかれたことをきっかけに小・中学校の9年間、学校に行けなくなってしまった市内在住の漫画家・棚園正一さん。自身の経験を描いた作品が、全国で反響を呼んでいます。「私の経験を一例に捉えてもらい、大切な人の気持ちを知るきっかけの一つになれたらうれしい」と漫画に思いを込めます。学校に行けずに悩む子どもには、少し落ち着いた時に手に取ってもらい、「こういう道もあるんだ」と心が楽になってくれたらと話します。
棚園さんも学校に行けなかった当時、今後どう生きていけばよいか悩みました。学校に行っていない子どもが大人になってどう過ごしているのか分からず、「自分は大人になる前にこの世から消えてしまうんだ」と思っていたことも。そんな時、家に訪問してくれていた支援者のおかげで、『ドラゴンボール』の作者・鳥山明さんと出会います。「学校に行ってなくても漫画家になれますか」と尋ねると、「行ってなくてもなれると思うけど、行っていたら学園ものとかが描けるから便利かもね」と鳥山さん。その言葉を聞いて「なんだ、それだけなんだ」と心が楽になります。
しかし、その後も学校には行けないまま、中学を卒業した棚園さん。アニメの専門学校を経て、定時制の高校に通うもなじめず、また学校に行けなくなり、高卒認定試験の合格を目指す予備校の専門コースへと通います。「また学校に行けない自分になってしまった」と落ち込んだ気持ちで通い始めましたが、「そこには、帰国子女もいれば、もっと先の勉強がしたいからと学校に行かなかった人もいました。学校に行けないといっても、いろいろな形があるんだ」と気付きます。そこで初めて多くの友達ができ、学生生活を楽しんだ棚園さんは「鳥山先生と会って、学校に行かなくても生きていていいんだと思い、予備校に通って、こういう生き方もありなんだと思えました」と長年のコンプレックスから解放されます。
「学校に行けなかった日々とそこで出会った人々がいて、今の自分へとつながっています」と話す棚園さん。今まさに学校に行けずに悩んでいる子どもたちに向けて、「『こうならなくちゃ』『こうあるべきだ』と自分の理想を抱き、その理想に追いつけない自分に劣等感やストレスを感じていることが多いと思います。人生、何度でもやり直すことはできます。やり直せるタイミング・チャンスは何度でもやってきます。気を楽に、ゆったり自分のペースで過ごしてほしい」とエールを送ります。

■PERSON IN CHARGE
ー担当者インタビューー

○一人一人が生きやすい世の中に
学校に行けなくなる原因は一人一人異なり、それぞれが複雑な悩みを抱えています。市では、多職種が関わり、長期欠席の子どもの居場所づくりや、社会に出て自立するための機会を増やすための支援を行っています。
学校に行けなくなることは誰にでも起こりうることで、決して悪いことではありません。市では、今年度から「不登校」を「長期欠席」と言い換えています。「不登校」という言葉の持つマイナスのイメージを変え、一人一人の思いに寄り添った、居場所づくりや支援を考えていきます。
学校教育課 近藤祐生

問合せ:学校教育課
【電話】46-3332

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