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自治体の皆さまへ

水の出会いを越え、木を育む(2)

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愛知県大府市

■かつて、人々の暮らしは、流域に。
安土桃山時代から江戸時代にかけて、木曽の木材は、城などの建築用材として盛んに活用されました。江戸時代後期には、木曽川の流れを活用し、木曽から名古屋まで材木を運搬する「木曽式伐木運材法」が確立。河川舟運が発達すると、川が交通・運搬機能を担うようになり、人・物・文化の交流が始まりました。
明治期以降、自動車・鉄道が発達すると河川舟運は衰退し、川の流域の暮らしという概念は希薄になり、低平地への居住や人口集中が進みました。
時代とともに社会の変化があっても、水源地として私たちの生活を支える王滝村・木曽町。
住み良いまちとして成長を遂げた今の大府市の姿は、水源地の存在なくして、存在し得ませんでした。

■水源地と受益市町の架け橋
私たちの使命は、愛知用水の水を安定的に知多半島の先まで送ること。水源地における社会経済の持続は、水資源の養成や安定した用水供給につながります。
大府市の皆さんには、水源地が衰退することがないよう、今後も水源林の保全をはじめ、水源地の将来や水の大切さを継続的に考えてほしいです。私たちは、水のつながりが育んだ絆を大切に「水源地と受益市町の架け橋」であり続けます。

水資源機構 愛知用水総合管理所 牧尾管理所
所長 吉田剛さん

■王滝村役場・木曽町役場の担当者に聞く水源地の今
森林は国土の約3分の2を占め、日本は世界でも有数の森林国です。
その中でも、王滝村と木曽町には森林が多くあります。
森林は木材などの生産のほか、水を蓄えて、地滑りなどの土砂災害を防いだり、多様な生き物の生態系を守ったり、二酸化炭素を吸収して地球温暖化を防いだりするなど、地球を守るためのさまざまな役割を果たしています。

◆四季の感動あふれる木曽町
長野県の南西部に位置する木曽町は、人口9851人(令和6年11月現在)で、町域の90%以上を森林が占めます。四季折々の自然風景が、人々の暮らしや生活環境を支えています。

○木の利活用
一大林業地を目指し「木の産業づくり」を進めたい
建設農林課 鎌田俊介さん

令和6年度から町を一大林業地にするため「木の産業づくり事業」を開始しました。
木曽町にはカラマツが多く、伐採適齢期を迎えています。計画的に主伐(※)するためには、木材の利活用を促進させなければいけません。そのため、町内産カラマツのブランド化に取り組み始めました。木曽町役場の庁舎には、町有林のカラマツを利用しています。カラマツの良さを知ってもらうモデルハウス的な役割も担っています。木曽のカラマツを山から切り出して、供給体制を確保し、エンドユーザーとなる中高層木造建築や内装材などへの利用につなげる仕組みを作っていきます。
切るだけではなく、切った場所に木を植えて循環型の森林整備をすることで、災害に強い山をつくり、大府市などの下流自治体へ、きれいな水を供給し続けられます。切って・使って・植える循環型林業の仕組みを構築することで、町が目指す一大林業地が完成します。
「木の産業づくり事業」は、始まったばかりです。計画的な森林整備と戦略的なカラマツのブランド化を図りながら、中・長期視点で、木材の安定的な供給と利活用に取り組んでいきたいと思っています。
※主伐…成熟した森林の伐採

◆水と緑のふるさと王滝村
長野県の最西端に位置する王滝村は、人口640人(令和6年11月現在)で、村域の約95%を森林が占めます。自然環境を生かしたアウトドアスポーツが盛んで、観光産業を柱とした地域振興を行っています。

○担い手育成
学びのフィールドを生かして担い手を育てたい
経済産業課 西路博さん

森林の理想は、林齢(森林の年齢)が均等になるよう、順番に植林すべきですが、切っても利用方法がないことから、現在は植えられず、若い林齢の樹木が減っています。
王滝村が抱える森林の課題は、担い手が不足していること。林業は、危険できつい仕事のイメージがあり、辞めてしまう人が多いです。山を育てるには、人を育てることが大切です。木曽地域にある長野県林業大学校・木曽青峰高校・上松技術専門校という学びのフィールドを生かし、長野県と協力して担い手を確保したいと思っています。
県外から就学した林業大学校などの卒業生が、この地で林業に携わることで森林整備が進み、地域の活性化にもつながります。また、木材の活用先が決まることで、新しい木を植えることもできます。
大府市の皆さんには、市民のボランティアバスツアーや市職員互助会などで、実際に王滝村の環境整備に携わっていただき、うれしく思います。
多くの方が、森林に興味を向けてくれているので、今まで手入れができていなかった森林の整備を本格的に実施できる段階にきました。木曽地域の森林を活性化できるよう、今後も大府市の皆さんと交流を続けていきたいです。

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