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自治体の皆さまへ

水の出会いを越え、木を育む(5)

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愛知県大府市

【暮らしを彩る木育】
◆木曽ヒノキ材を使用した木製ロッカーの設置
こどもたちがランドセルやリュックなどを置く教室のロッカーの改修に合わせ、(株)藤本林業が伐採した王滝村産のヒノキを100%使用した木製ロッカーを設置しました。
掃除道具棚には「水を介して密接な関係がある、王滝村のことを学び、交流を育みましょう」とメッセージが刻まれています。

◆大府児童老人福祉センターの木質空間の整備
大府児童老人福祉センターの浴室をリニューアルし、木質空間の整備を進めています。(株)木曽谷Kousaku.の協力で、王滝村産の木材を使った家具・内装材を製作。全世代が心地よく安らげる、新たな憩いの場として、令和7年4月のオープンを予定しています。

○INTERVIEW
大府児童老人福祉センター
館長 小栗忍
王滝村の木材を使った空間に机・椅子などを配置し、多世代がゆったりと交流でき、木のおもちゃで遊べるスペースを設置します。木の温もりを感じられる新たな憩いの場が誕生します。ぜひ、開館まで楽しみにお待ちください。

【交流をもたらす木育】
◆遠く離れた場所で、大府市民が作る森林
平成22年度から、大府市職員互助会が王滝村と「水源の森パートナー協定」を締結し、森林間伐活動を行ってきました。
平成26年度には市民団体による森林間伐活動を行い、平成27年度から市民公募型の森林間伐ボランティアバスツアー事業を開始しました。今年は20人の参加者が、森林間伐を行いました。

○市民参加者 尾髙公輔さん、あかねさん
何気なく使っている水が、王滝村と木曽町から流れてきていることを知り、日頃の感謝を込めて夫婦で参加しました。水をきっかけに、森林を学ぶことはとても大事だと感じました。

◆水源地の魅力を体験 宿泊施設利用助成制度
水源地との交流を深めるため、王滝村・木曽町にある宿泊施設に宿泊する際の料金の一部を助成しています。
対象:市内在住の方
助成額:1人1泊当たり最大3000円(一年度につき3泊まで)
申込:宿泊施設に助成制度を利用できるか確認した上で予約し、申請書に必要書類を添えて、文化スポーツ交流課窓口へ。
※申請書は、文化スポーツ交流課・市ウェブサイトに用意しています。

【環境を守る木育】
◆市内企業も水源地と連携。J-クレジットで水源地の活性化とゼロカーボンに貢献
王滝村・木曽町は、森林整備による二酸化炭素などの温室効果ガス吸収量を、J-クレジット(※)として販売しています。大府市は、水源地との地域間連携とゼロカーボンシティの実現のため、市内企業と共にJ-クレジットを購入する取り組みを始めています。
J-クレジットを購入した企業は、脱炭素経営の一環として、法律に基づく温室効果ガスなどの排出量の報告、商品・イベントのPRなどに活用できます。大府市と市内企業によるJ-クレジットの購入代金は、王滝村・木曽町のさらなる森林整備や地域の活性化に活用されます。

○INTERVIEW
大和機工(株) 取締役 早川安博さん
地元企業として社会貢献に積極的に取り組む中、大府市が進めるゼロカーボンシティへの実現に協力しようと、J-クレジットを12トン購入(約20万円)することを決めました。この取り組みが、愛知用水の受益市町を中心に、市内・県内企業にも広がることを願っています。王滝村・木曽町の森林整備や林業の担い手不足の解消に役立てるとうれしいです。

○J-クレジット
森林の保全・育成による温室効果ガスなどの吸収量・省エネルギー設備の導入・再生可能エネルギーの利用による温室効果ガスなどの排出削減量を、クレジットとして国が認証する制度。
・カーボン・オフセット(※)
・温対法・省エネ法の報告
・適切な森林管理
・省エネ設備の導入

※カーボン・オフセット…生活や経済活動に伴い排出する温室効果ガスを認識・削減した上で、J-クレジットを購入することで、その排出量を埋め合わせること

【心を豊かにする木育】
◆良質な木のおもちゃで多様な遊びを。おもちゃ美術館の整備
こどもたちが木や森との関わりを学びながら、木特有の木目・手触り・重さ・音・香りなどを五感で感じ、創造力と感性を養う新たなこども・子育て支援施設として「おもちゃ美術館」の整備を計画しています。
「夏の暑い時期や雨など、天候に左右されることなく、屋内で安全に遊ぶことができる場所がほしい」という多くの市民の声を受け、「おおぶこども輝く未来応援八策」に掲げる「こどものための屋内遊戯施設」として、令和9年4月にオープンを予定しています。9月に開催した市民ワークショップから得られたアイデアを参考にして、バイオリンやブドウなど、大府らしさを遊具に取り入れ、オリジナリティのある施設としていきます。

◆木育キャラバン。木を五感で
おもちゃ美術館の整備に合わせ、赤ちゃんから大人まで楽しめる木のおもちゃを全国から集め、自由に触れて遊べる「木育キャラバン」を8月に市内で初開催しました。
総勢1800人以上のこどもと大人が、300点以上の国産材を中心とした木のおもちゃに夢中になって遊ぶ姿が見られました。さらに、水源地の木材などを活用した木工ワークショップも開催しました。

■水が引き合わせた縁
約150キロメートル。これは、王滝村・木曽町と大府市の距離です。
遠く離れていても、水が引き合わせた大切な縁。
昭和36年に完成した愛知用水の通水以来、水源地からは一日も休むことなく、水が届いています。
水の恵みを受けた大府市では、ブドウ・タマネギ・キャベツなどの栽培により都市近郊農業が振興し、自動車関連産業がまちを発展させました。まさに、水と共に成長したまちです。
しかし、かつての私たちは深刻な水不足に悩まされ、先人の知恵の結集により誕生した愛知用水、そして、水源地の存在に助けられたことを忘れてはいけません。
通水から約64年が経っても、変わらずに水の恩恵を受ける私たち。
かつての悩みは解決されていても、月日が流れ、今、水源地が大きな課題に直面しています。
それは、伐採適齢期にある森林の利活用が進んでいないこと。
水源地の課題は、私たちの生活にも直結します。
水源地と一緒になって、その課題を解決する一つの糸口。
それは木を育む「木育」。
今、市内では、木育をキーワードとする取り組みが始まっています。
木への関心を持つことを入口に、木材の利活用・ボランティア活動・観光・J-クレジットなど、水源地との関わり方の出口は、さまざまあります。
「木育」という苗木を植えた今。大きく成長するまでには、長い年月がかかるかもしれません。
しかし、それはいつか、私たち、私たちのこども・孫の世代の生活を支える大きな木になります。
今から一つ一つ、行動に移してみませんか。
水が引き合わせた縁を大切に。
王滝村・木曽町と大府市が持続可能な都市であり続けるために。

■笑顔がなによりの証
木がもたらしたこの笑顔。
「木を育む」
私たちができる、水源地への恩返しです。

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