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アダム見聞録 New

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愛知県大府市

■気持ち良い海辺を作った人
国際交流員 Adam Simmonds
海が苦手だと言う人にその理由を聞くと「砂」と答える人は多いでしょう。確かに、特にこどもと海に行くと、車や玄関が砂だらけになることがあります。
ポート・フィリップ市(オーストラリア連邦ビクトリア州)のセント・キルダビーチのすぐそばには芝生が広がり、ヤシの木が並び、砂が苦手な人でも気持ち良く海でくつろぐことができる公園があります。この公園は「カターニガーデンズ」と呼ばれ、1890年から1916年まで続いたこのビーチの埋め立てや整備を担った土木技師カルロ・カターニの名前が付けられています。
1852年にイタリアのフィレンツェに生まれたカターニは、1876年からメルボルンで技師として活躍し、1892年にビクトリア地区の土木管理部の技師長になりました。セント・キルダのみならず、ビクトリア州各地の橋や道路の建設、河川の管理、湿地帯の農地化などの大規模な土木事業の計画に関わりました。
このビーチの整備に、カターニは無償で自分の時間を費やし、知恵を注ぎ込みました。海岸整備委員会の予算が底を突いたとき、カターニ自身が作業員たちの賃金を立て替えて払ったこともありました。
カターニは、1918年にセント・キルダの自宅で亡くなりました。その貢献を記念する時計台と胸像が、一般人からの募金やセント・キルダ市と海岸整備委員会の協力で、1932年に海岸の近くに設置されました。
カターニが長年かけて作り上げた砂が苦手な人でも楽しめる海辺は、セント・キルダが愛され続ける理由の一つです。

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