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夢キラリ人

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愛知県大府市

■逆境を乗り越え、輝き続ける創作の旅
野村京子さん

心臓弁膜症という持病と二度の脳梗塞を乗り越え、俳句と写真を通じた創作の道を歩む野村京子さん(81歳・東新町)。傘寿記念として出版された句集『病葉(わくらば)』には、彼女の旅の記憶と、創作への情熱が込められています。
「小さい頃から体が弱く、小学校の体育の時間は見学組。結婚後も、二度の流産を乗り越えて娘を授かりました」と健康への不安が絶えなかった人生を振り返る野村さん。50歳を過ぎて心臓弁膜症を発症し、手術後のリハビリを終える頃、ボランティア活動をきっかけに写真と出会います。生来の旅好きが高じ、ベトナムのハロン湾や富良野のラベンダーなど国内外の美しい風景を写真に収めてきました。
しかし古希を迎えた後、脳梗塞を二度経験。後遺症は残りませんでしたが、この頃から体の衰えによる腰の曲がりが次第に進行します。一時は歩行も困難となり、大好きだった旅行に出掛けることも難しくなりました。外出がままならない生活の中で、新たな人生の希望となったのが俳句でした。
76歳の時に始めた通信講座をきっかけに、俳句の世界に魅了された野村さん。17文字の短い言葉で、日々の暮らしや旅先の情景を表現します。「目を閉じると、かつて訪れた風景が浮かんできます。俳句に出会えたおかげで、頭の中で旅を続けることができます」と語る彼女の顔には、穏やかな笑みが浮かびます。
『病葉』には、能登半島地震で被災した石川県輪島市の写真も収められています。かつて訪れた思い出深い地に思いを寄せ、「現地を訪れることはできませんが、自分の作品を通じて少しでもお役に立てれば」と句集の売上金を寄付することを決めました。
現在、野村さんは第二句集の制作を目標に日々俳句を詠んでいます。「老い先短いからこそ、できる限り多くの良い句を作りたい」と話す彼女の創作意欲は衰えることを知りません。81歳を迎えた現在も、創作の道をひたむきに歩み続ける野村さん。「好奇心を忘れず、趣味を持ち続けてください。成長や上達の喜びを知っていれば何歳になっても、楽しく生きられます」と年齢や障がいにとらわれることなく、情熱を持って人生を豊かにする方法を私たちに教えてくれます。

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