■Brain Rot and Slop
国際交流員 Adam Simmonds
日本の「新語・流行語大賞」のようなものが英語圏の国にもあります。英国・米国・豪州など、英語の辞典出版社やオンライン辞典の運営者が「今年の言葉」を選定し、発表しています。2024年には「SNS」「AI」など、私たちの生活や社会を大きく変えていく技術との触れ合いから使われるようになった言葉がいくつか登場しました。
英国では、オックスフォード大学出版局が2024年の言葉として選んだのは「brain rot(ブレインロット)」、脳腐れの意味を示します。もともと19世紀の作家が使った言葉で新語とは言えませんが、近頃ネット用語として復活し、「凡庸で取るに足らないオンラインコンテンツの過剰な視聴による精神・知的水準の低下した状態」と定義されています。例えば、SNSの動画を長々と見て、話し掛けてもまともな返事がない人に「You’ve got brain rot」(意味:脳みそ、腐りかけているよ)と注意できます。
もう一つの候補は「slop(スロップ)」。もともとこぼれた液体などという意味の言葉でした。最近は、AIが生成した無意味で誤った文・画像をけなす言葉として使われています。迷惑メールを「spam(スパム)」と呼ぶように、迷惑なAI生成コンテンツを「slop」と言います。
進歩し続ける技術をバラ色の眼鏡より、冷めた目で見ている人びとが世界中にいるようですね。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>