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健康通信〜小牧市民病院より〜

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愛知県小牧市 クリエイティブ・コモンズ

■虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)について
心臓血管外科 部長医師
寺本 慎男

まだ残暑が厳しいころですが、これから秋・冬にかけて急な発作などで心配になる虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)についてお話しします。

◇虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)
心臓は身体中に血液を送り出すポンプの役割をする臓器です。心臓がポンプとして働くために心臓を栄養する血管(冠動脈)があります。虚血性心疾患には狭心症や心筋梗塞などがあり、冠動脈が狭くなったり、詰まったりして血液供給の低下から胸部症状を来す病気です。

◇狭心症の治療について
狭心症と診断されたら、まずは禁煙、体重管理などの生活習慣の是正に加え、最適な薬物療法が必要となります。そのうえで、冠動脈病変によっては血行再建術が検討されます。
狭くなり虚血をきたした冠動脈に新たな血管をバイパスして血流を増やす手術として、1967年に冠動脈バイパス術(CABG)が報告されてからすでに半世紀以上が経ちました。また、1977年には経皮的冠動脈形成術が行われ、後に現在は循環器内科にて施行されている経皮的冠動脈インターベンション(PCI)につながっていきます。PCIとCABGはどちらかが優れているという話ではなく、病状の切迫度、冠動脈病変部位、併存疾患、社会的背景などを考慮して治療法が選択されます。

◇冠動脈バイパス術(CABG)について
人工心肺使用下冠動脈バイパス術(ONCAB)に対して、1990年代後半からは人工心肺を用いずに手術を行う、心拍動下冠動脈バイパス術・オフポンプ冠動脈バイパス術(OPCAB)というものが日本でも積極的に行われるようになりました。特に2004年以降はCABG全体の60%程度を占めるまでになっています。これも優劣をつけるものではなく、患者個人の全身状態によって選択されるものです。日本ではOPCABを推す心臓外科医が多くみられることは事実ですが、これまでの多様なランダム化比較試験においてOPCABがONCABより優れているという明らかな報告はなされていません。欧米では未だONCABが主流であるのもその理由の一つになると思います。
一方で、人工心肺の使用がリスクになる患者さんが存在することも事実です。そういった方にこそOPCABの選択肢を有していることが我々外科医としても必須です。最近では種々のデバイスも開発され、より安全に手術ができるよう工夫されています。

◇当院での治療について
PCIの方が優れている状況やCABGが勧められる状態は、患者さんによって異なります。当院ではハートチームによるカンファレンスを週1回行っていますので、より柔軟な対応が可能です。手術治療を勧められた場合は、外来予約の上で手術についてのお話をしています。手術に対する不安もあると思いますが、患者さんそれぞれに適した治療法の提案が可能です。
治療を放棄している間に救急車で運ばれると、予想以上に大きなリスクでの治療介入となります。検査結果に対して受け入れ困難なこともありますが、「まだ間に合うな、何とかなるかな」と思って予約してもらえればよいと思っています。まずはご相談ください。

問合先:市民病院
【電話】76・4131

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