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健康通信 〜小牧市民病院より〜

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愛知県小牧市 クリエイティブ・コモンズ

■「親知らず」について
歯科口腔外科 臼井 志帆

当院歯科口腔外科では年間500本以上の親知らずの抜歯をおこなっています。
皆さんも歯科医院の定期検診などで親知らずについて指摘されたご経験はないでしょうか。また、親知らずを抜いた後に、顔が腫れたなどのエピソードをお聞きになったこともあるかと思います。
今回は、意外と身近な親知らずについてお話しさせていただきます。

◆親知らずとは
第三大臼歯が正式な名称で、智歯とも呼ばれており、前から数えて8番目の永久歯のことです。生える時期が概ね10代後半から20代前半であり、親に知られることなく生えてくる歯であることが、その名前の由来だとも言われています。
人類の進化の過程で、現代人の顎の縮小化により親知らずの生える場所が狭くなってしまい、顎の奥に止まったり、横向きに生えてきたりしています。それにより、智歯周囲炎(歯茎が腫れている状態)、水平埋伏智歯(歯が横向きになっている状態)、埋伏智歯(歯が骨に埋まっている状態)と診断され、抜歯が必要とされます。しかしながら最近では、親知らずそのものがない人も見受けられるようになりました。

◆親知らずは抜いたほうがいいの?
抜歯と言ってもお口の中の手術になるため、処置のリスクや術後の合併症などを伴います。加齢により骨と歯が癒着してしまっていたり、抜いた歯が戻ってくることはないことから、抜くメリットとデメリットを十分に相談し決断するのをお勧めします。個々の状態によって変わりますが判断の目安をお伝えします。

○抜いたほうが良い場合
(1)親知らずの周囲の歯肉が腫れたり、痛くなったとき(親知らずと前の歯の間に食べかすが詰まる)
(2)親知らずや手前の歯が虫歯になったとき(治療が困難な場合)
(3)頬に繰り返し傷をつけるとき
(4)前の歯を圧迫しているとき
(5)以前親知らず周囲が腫れたことのある妊婦(妊娠時のホルモンの影響により、炎症症状が増悪する可能性があります)
(6)親知らずの周りに膿の袋(嚢胞)ができて大きくなるとき

○抜かなくても良い場合
(1)上下ともに正常に生えて噛んでおり、きれいに清掃できているとき
(2)顎の骨の中に完全に埋まっているとき
(3)入れ歯やブリッジの土台として必要なとき
(4)親知らずを失った歯の場所に移植するとき
(5)矯正治療などで歯が動かせるとき

◆親知らずを抜いた後の症状は?
(1)痛みと腫れは必ず出ます。痛み止めを飲んで様子を見ます。親知らずの位置にもよりますが、抜歯後2~3日後がピークになります(大事な用事がある週は避けたほうがいいです)。1週間くらいは、口が開きづらく、飲み込みにくいことがあります。
(2)顔にあざができることがあります(皮下出血班と呼ばれます)。
(3)まれに、3日目ぐらいに血の塊が溶けて、骨が露出すると痛みが継続することがあります(ドライソケットとも呼ばれます)。
(4)親知らずの根の部分と神経が近接している場合、まれに痺れが残ることがあります。

◆お口の健康を維持するようにしましょう
当科では抜歯の際の恐怖心が強い方や複数の親知らずを一度に抜歯する場合に、1泊2日の入院で静脈内鎮静(ややうとうとした状態)下での抜歯をおこなっています。通常よりも顎の骨の深いところに歯が埋まっている場合や膿の袋(嚢胞)ができている場合は2泊3日の入院で全身麻酔(意識がない状態)下での処置をおこなっています。
かかりつけ歯科を持ち、口腔の健康を維持し、受験時期、就職時期、出産時期に親知らずの影響を受けないようにしたほうがいいでしょう。
気になっている方は、かかりつけ歯科の先生に一度相談してみてはいかかでしょうか。

病院ホームページ、診療科ページは本紙またはPDF版に掲載の二次元コードをご確認ください。

問合先:市民病院
【電話】76-4131

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