■「骨粗しょう症」と食事の関係をご存じですか?
栄養科:大平 圭祐
◇骨粗しょう症とは
骨の量が減ることで骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。原因としては加齢や食習慣の乱れ、運動不足などがあります。
現在の日本には1,300万人の患者さんがいると言われており、高齢化に伴い増加傾向となっています。
◇脆弱性骨折
骨粗しょう症による骨折はわずかな力で生じることから脆弱性骨折と表現されます。骨折部位は背骨や足の付け根の骨、肩や手首の骨などさまざまです。なかでも足の付け根の骨(大腿骨)の骨折は歩行が困難となる場合や、2回目の骨折(2次骨折)を起こすリスクが高く、介護の必要性や治療後の生命維持にも影響が出ることから十分な予防対策が必要とされています。
◇当院の取組
大腿骨骨折で入院となり手術を行った患者さんを対象に令和4年から2次骨折を予防するためのチームが始動しました。骨粗しょう症診療に関わる多くの職種がチームとして治療をサポートしています。手術後の栄養管理は歩行獲得や合併症予防に繋がることが報告されています。管理栄養士もこのチームに参加し、患者さんに適した病院食の形態調整や嗜好を考慮した食事内容の変更、栄養指導などを実施しています。
◇骨粗しょう症と食事療法
骨粗しょう症の予防、治療には日々の食事が大切とされています。ここからは健康な骨を作るための栄養素についてご紹介します。
(1)カルシウム
骨の構成に重要な栄養素であり1日に700~800mgの摂取が推奨されています。しかし、令和元年の国民健康栄養調査では成人1人あたりのカルシウム摂取量は498mg/日であり、不足しがちな栄養素といえます。カルシウムの多い食品としては乳製品や豆腐、小魚などがあります。
(2)ビタミンD
腸管からのカルシウム吸収を促す働きがあり、丈夫な骨づくりに必要不可欠な栄養素です。
欠乏状態では骨折リスクが6倍になると言われています。大腿骨骨折で当院に入院された患者さんの約9割がビタミンD欠乏状態であることが分かっています。多く含まれる食品には魚類(特に鮭、カツオ)やキノコ類などがあります。
また、紫外線にあたることで皮膚からも生成されるため、1日に少なくとも20~30分日光に当たることを心がけましょう。
(3)ビタミンK
骨を形成するたんぱく質を活性化させることで骨の強度を保つ働きがあります。緑黄色野菜や果物、納豆に多く含まれています。
※血液をさらさらにする薬を服用中の場合には、控える必要があります。
その他にも骨にはエネルギーやたんぱく質など多くの栄養素が関与しています。バランスのいい食事を基本に日々の食事を通して骨折しない骨づくりを目指しましょう。
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※本紙18ページの二次元コードをご参照ください。
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