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Story わたし物語

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愛知県岡崎市

◆誰も知らないことを一番に知ることができる喜び

・渡邊 幹男(わたなべみきお)さん
国立大学法人 愛知教育大学教授
愛知県文化財保護審議会委員副会長
岡崎市動植物調査会会長

「誰も知らないことを自分で発見できる。こんな魅力的な仕事は他にない」と研究に対しての思いを語るのは、愛知教育大学教授理学博士の渡邊さん。幼少期から生物や自然に関心があり、田畑や山で生き物や植物を見つけては図鑑を見て調べていたそう。今では研究者となり、「図鑑に載っていることが全てではない。実際に見てみないと分からないことがあると日々実感している」と話します。
栃木県出身の渡邊さんは、「多くの自然があり、育った足利市と同じ匂いがするから」という理由で岡崎に住むことを決めたそう。特に、岡崎の北山湿地(池金町)や額田地区に対しては、「地域固有の植物だけでなく、西日本に分布している植物も生息しているため、貴重な種類の植物が多く見られ、研究者として情熱をかき立てられる」と魅力を語りました。
そんな北山湿地で行っているのは、ハルリンドウの研究。春に全国で青紫色の花を咲かせるハルリンドウは、これまで2種類に分類できるとされてきました。しかし、北山湿地内に咲いていたハルリンドウのロゼット葉※の形が他の地域のものと違い内側に折れ曲がっている特徴があることを発見。遺伝子解析により、少なくとも6種類に分類できることを突き止めました。このときの気持ちを、「驚きだった。見えているようで見えていないことが多くあるということを感じた」と振り返ります。
現在は、北山湿地に咲く新種のハルリンドウを“トウカイハルリンドウ”と名付け、岡崎高校のスーパーサイエンス部と一緒に北山湿地の生態調査を続けています。「学生たちにも自分たちがやっていることは世界で初めての発見になるかもしれないと感じながら調査してもらいたい」と活動に対しての思いを笑顔で話しました。
「今ある自然をいかに維持していくかが大切。自然を守る方法を探すために生態調査を続けていきたい」と話す渡邊さん。今後も豊かな自然を守っていくために、植物と真正面から向き合い自然の実態を解明していくことでしょう。

※地表付近で放射状に密集して生えている葉を指す

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