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Story わたし物語

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愛知県岡崎市

◆プラナリアから再生医療へ
・阿形 清和(あがたきよかず)さん
自然科学研究機構・基礎生物学研究所 所長
国際再生生物学会賞(2023年)
文化功労者(2023年)

イモリやプラナリア※といった再生能力の高い生物を使って、生物の再生原理に関する研究に取り組んできた阿形さん。特にプラナリアの再生過程を調べた研究は、国内外で高い評価を受け、昨年9月にオーストリア・ウィーンで開かれた第1回国際再生生物学会では「国際再生生物学会賞」を受賞。昨年11月には文部科学大臣から文化の向上発達に顕著な功績がある人に贈られる「文化功労者」に選出されました。
現役選手として熱心にサッカーに取り組むなど、スポーツマンな一面を持つ阿形さんと再生研究の出会いは、サッカー少年だった高校生の頃。発生生物学者・岡田節人氏の著書『細胞の社会』を読み、再生研究者になることを決心しました。研究当初は、岡田氏が当時勤務していた京都大学に進学し、イモリの再生研究を行っていましたが、姫路工業大学の助教授に就任後、国内でほとんど研究者がいなかったプラナリアの研究を開始しました。
プラナリアは体を切断されると断面から体を再生し、頭があった方の切り口には、もう一度頭ができるなどの特性があり、これらはヒトの再生医療にも役立てられると考え、遺伝子レベルで解析していったそう。さらに1つの個体から同じ遺伝子を持つプラナリアを増やし、実験条件をそろえるといった研究手法も確立させ、これらの研究で得られた知見から再生医療のコンセプトを発表し、再生研究の第一人者となりました。
これまでの功績が称(たた)えられ、岡崎市民栄誉賞を贈られた阿形さん。「50年間一貫して行ってきた自身の再生研究が、ゆかりある岡崎市で評価され、大変誇りに思う」と受賞の喜びを語りました。
今後は、ここ“岡崎の地”で再生研究だけでなく、再生生物が持つ再生能力を活(い)かし、高齢者の生活の質を向上する研究にも取り組んでいきたいと意気込みます。阿形さんの今後の研究からも目が離せません。

※川などに生息する体長1~3cmほどの生物。三角形の頭に小さな眼が2つ並んでいて、平ぺったく細長い体をゆらしながら、水中をスーッと這(は)うように移動する生物です。

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