■周りの人に成長させてもらって、今、ここにいます。
杉渕 寛(すぎふち ひろし)さん(名古屋コーチンの店「鳥勝」、岩倉市商工会青年部部長)
まだ古い町並みが残る岩倉街道に大正12年から続く精肉店があります。令和4年に文化庁から「100年フード」にも認定された、岩倉の特産品である名古屋コーチンを手掛け日本全国に広めているこの店「鳥勝」の3代目店主が杉渕さんです。
出身は名古屋市で、鳥勝は元々奥様の実家の家業。結婚を機に夫婦で鳥勝を継ぐことを決め岩倉市へ引っ越してきました。杉渕さん自身、それまで名古屋コーチンを意識して食べたことはなかったそうですが、食べてすぐにその魅力に取りつかれ、店を継がないかと言われた時も、名古屋コーチンのこの味なら全国と勝負ができる、そしてこの精肉の技術を継承していかなければいけないと想い、すぐに引き受けました。
とはいえ包丁もまともに握ったこともないところからのスタート。先代も職人肌で見て覚えろという世界だったため、形になるまでは苦労もありました。
転機は仕事にも慣れてきた4年目、消防団の先輩に誘われて岩倉市商工会青年部に入会したことです。そこでの出会いが世界を広げてくれたと当時を振り返り、同じ年代で商売をしている仲間を得たことで成長できたと言います。
今でこそホームページやブログ、SNS等で積極的に情報発信をしていますが、それも青年部の先輩に教えてもらったこと。商品がいくら良くてこだわりがあっても黙っていては何もやっていないことと同じで、誰もその良さに気づいてくれないと学びを得ました。青年部に入っていなかったら、今ここには居られなかったのではないかと言います。
そうして成長してきた今、その技術は一流の料理人にも評価されるほどになり、全国各地から注文がくるようになりました。名古屋コーチンの味を全国にもっと広めたい、お店をもっと繁盛させたいという思いも勿論ありますが、それと同時に岩倉市をもっと盛り上げていきたいと感じています。多くの人に助けてもらい今の自分がある。今度は自分が地域に、青年部に、岩倉市に貢献できたら、そして共に発展できたら、そう考えています。
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