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自治体の皆さまへ

健康講座 歯科医院でできる睡眠治療

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愛知県岩倉市

尾北歯科医師会岩倉地区会
医療法人恒陽会 松浦歯科・矯正歯科 松浦恒存

スマートフォンやスマートウォッチの普及により、自分の睡眠の質を簡単に知ることができる時代になりました。リカバリーウエアや科学的に快適に眠れる寝具など、睡眠の質を上げ、日中のパフォーマンスを上げることを目的とした商品を多く目にするようになりました。忙しい現代人には、しっかりした睡眠が必要不可欠のようです。
睡眠の質の向上を図ることへの関心が高まり、知識を得る機会も増えたように思います。良い睡眠のために努力できることは色々あるようです。部屋の温度、湿度、灯の強さ、入浴のタイミング、日中の運動量などなど。
でも、知識も実践も充分なのに、実際測定してみると睡眠効率が悪く、睡眠不足になってしまっていることはありませんか?
「努力しているのに、あまり眠れていないようだな?」
そんなあなたは、睡眠時無呼吸症候群かもしれません。
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に無呼吸状態が繰り返される病気です。上気道のスペースが狭く、睡眠中に呼吸が止まってしまうことが何度も起こります。呼吸が止まってしまうと酸素不足に陥るので、呼吸を再開させようと体は覚醒の方向に向かいます。覚醒してやっと息が吸えても、また眠りに落ちると呼吸が止まってしまうのです。これでは睡眠の質が悪くなり、しっかり寝たつもりでも日中に眠気やだるさが生じます。
睡眠時無呼吸症候群の恐ろしいところは、繰り返される無呼吸により体全体に炎症が起こり、それによってあらゆる合併症を引き起こし、死亡率が上がってしまうことです。中等症から重症の睡眠時無呼吸症候群患者の8年生存率が63%であったという、ショッキングな報告もあります。交通事故を起こしてしまった人が睡眠時無呼吸症候群だったというニュースを聞いたことがある人は多いと思いますが(睡眠時無呼吸症候群の人は、そうでない人に比べて7倍交通事故を起こしやすくなります)、睡眠時無呼吸症候群の死亡率の高さには、身体中の炎症が続くことによる合併症が大きく影響しているというのはあまり知られていないように思います。
合併症の多くは身近な病気です。例えば、治療抵抗性高血圧という、薬物療法があまり奏功しないタイプの高血圧の83%が睡眠時無呼吸症候群を併発し、また、糖尿病患者の86%が睡眠時無呼吸症候群であり、互いに悪影響を及ぼしあう関係にあります。ごく身近にある代表的な生活習慣病の多くが高確率で睡眠時無呼吸症候群と関係しているため、睡眠時無呼吸症候群を放置していると致死的な循環器系イベントが発生し、死に至るという構造です。睡眠時無呼吸症候群は、ただ眠くて交通事故を起こしやすくなる病気ではなく、もっと深く強く生命に悪影響を及ぼしているのです。
そんな恐ろしい睡眠時無呼吸症候群ですが、治療を行えば、生存率を上げることが可能であることが分かっています。適切な治療を行えば、命を守ることが可能なのです。命を守る治療のひとつに、歯科医院で作るマウスピースがあげられます。今回は、私たち歯科医師が睡眠時無呼吸症候群の治療のお手伝いができることをお伝えしたくて筆をとりました。もしかして睡眠時無呼吸症候群かも?高血圧、糖尿病だからもしかすると?そんな人は、気軽に歯科医院で相談してみてください。それが、これからの人生の大切な分岐点になるかもしれませんから。

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