■冬場に多い脳卒中~日常生活の中で気をつけたいこと~
監修 脳神経外科外来
脳卒中とは、脳の血管が詰まる脳梗塞と血管が破れて出血する脳出血・くも膜下出血などの総称で、ある日突然症状が現れます。特に、冬は気温が下がることで末梢血管が収縮し血圧が上昇するため、脳卒中が増える季節です。脳卒中は、寝たきりの原因の第1位(令和4年国民生活基礎調査)の疾患でもあり、一度発症すると再発しやすいため、生き生きとした健康寿命を保つためにも予防は大切です。寒い時期の日常生活で気をつけるポイントを紹介します。
◇血圧のコントロール
脳卒中の最大の危険因子は高血圧です。血圧が高いと脳の血管が破れたり、詰まったりする危険性が高くなります。塩分の摂りすぎは血圧を上昇させるため、塩分は控えめにしましょう。
◇水分摂取
冬は夏に比べ水分摂取量が少なくなりがちです。水分摂取が少ないと、血液が濃縮しドロドロになり詰まりやすくなるため、こまめな水分摂取が大切です。摂り方のポイントは、朝・昼・夕食時と食間に、それぞれコップ1杯ずつ飲用すると、無理なく摂取することができます。
◇ヒートショック
暖かい場所から寒い場所へ移動すると、交感神経が優位となり身体の熱を逃さないようにするため全身の血管を収縮させることで血圧が上昇します。暖かい場所へ移動すると、血管が広がり血圧が下がります。急激な温度変化によって血圧が上昇と低下を繰り返すことで脳出血・脳梗塞を誘発します。自宅内では暖房の効いたリビングから移動した先の廊下やトイレ、お風呂で起きやすいため、トイレやお風呂場でも暖房器具などを使用し、できるだけ気温差を少なくすることが大切です。
浴室で注意すること:
・入浴前に脱衣所や浴室を暖める
・いきなり浴槽に入らずに、かけ湯をする
・食後すぐの入浴は控える
・飲酒後の入浴は避ける
・浴槽から急に立ち上がらない
・入浴前後に水分摂取をする
トイレで注意すること:
・暖かい場所から寒い廊下を歩いて行くと血管に負担がかかるため気をつけましょう。寝室をトイレの近い部屋にするのもよいでしょう。
・排便時にいきみすぎない
・暖房便座や暖房器具で快適を保つ
※シャワーで浴室を暖める
※暖房器具でトイレ・浴室を暖める
脳卒中の予防の基本は、生活習慣の改善です。健康で快適な生活を維持していくためにも、身近な食生活や行動に目を向けて過ごしましょう。
問合せ:市民病院(代表)
【電話】22-2171
ID:751376216(ほのか診察室)
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