春日井のおもしろ地名

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春日井郷土史研究会　山本

◆幟(のぼり)

幟は上条町9丁目に現存する古い地名です。「春日井の地名」(春日井郷土史研究会・昭和52年)では、この地名の由来として、「長久手の役に豊臣勢が幟を押し立てて龍泉寺に登ったところと語り伝えられているように幟の意であろうか。」「この地は龍泉寺への登山口に当たるので『登』の転訛(てんか)したものであろうともいう。」と、二説の説明がされています。
明治15年には、この地は「東春日井郡和爾良(かにら)村字幟リ」といわれ、送りがなとしては不要な「リ」が付いています。元々は、「野墓=ノボ」に〝～のうちにある〞という意味を持つ漢字である「裡=リ」が付加されて「幟」となったのかもしれません。この根拠として、江戸期において上条村に存在した野墓地(のぼち)である「泰岳寺幟墓地(たいがくじのぼりぼち)」が挙げられます。この野墓地は、昭和50年頃に境内への移転により廃止され、その跡地周辺が現在の「幟」となりました。境内にある庫裡(くり)と同様に、この地は「野墓裡=のぼり」と称され、地名には佳字(けいじ)(※)をあてることから、この辺り一帯が「幟」と表記されたのではないでしょうか。

※漢字の字面が良くない場合に、同じ読みで字面の良い漢字を充てること

幟：JR春日井駅南