春日井郷土史研究会 髙橋
◆駒返り(こまがえり)
駒返りは西尾町にある小字で、その西の端(下街道脇)には小さな丸い窪(くぼ)みのある岩があります。
この窪みには、日本武尊(やまとたけるのみこと)が関東平定の帰路、建稲種命(たけいなだねのみこと)を祭った内津を振り返った時に付いた馬の蹄(ひづめ)の跡という伝説があります。このため、駒返りは伝説に由来する地名であると思われそうですが、この伝説が広く知られるようになったのは明治時代になってからです。江戸時代の村絵図には、既に「駒帰(返)り」とあるため、時代が合いません。
その他の由来として、ここに内々神社の一の鳥居(※)があることから、旅人が馬を止めて振り返ったからだとも言われていますが、これは地名との辻褄(つじづま)合わせであると思われます。
また、駒返りは急斜面が続く地形のため、「馬で上れない」という意味で付いたのではないかとも考えられます。この説は、近くの廻間町にある「馬不入(うまいらず)」と同類の名付け方であると思われます。
※境内に入って最初にある鳥居のこと
駒返り:西尾町
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