春日井のおもしろ地名

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春日井郷土史研究会　小木曽

◆三升坂(さんしょうざか)
かつて、国道19号の坂下町6丁目南交差点から潮見坂へ向かう辺りに、「三升坂」という急な坂道が通っていました。ここには『朝日射す夕日輝くその下に』黄金三升(※1)が埋まっていると言い伝えられていました。実際に村人が掘り起こしてみたものの、出てきたのは古壺1個と古銭3枚だけだったということですが、なぜこの地に黄金伝説が伝わっているのでしょうか。
興味深いことに、市の東部周辺には『朝日射す夕日輝く』黄金伝説が集中しています。桃花園の五万両山(ごまんりょうやま)、福厳寺(ふくごんじ)の裏山、坂下の三升坂、白山の椎(しい)の木雨池(きあまいけ)などです。いずれも伝承地は標高80mの等高線上にあるため、これらの黄金伝説は、古・東海湖の堆積層である第三紀(※2)層上位の火山灰層に含まれる砂鉄に起因すると考えられます。
近世初頭まで、「こがね」は「粉がね」、すなわち「砂鉄」のことでした。このため、砂鉄の出る丘陵の頂が、黄金の埋まる場所として伝わったと考えられます。

※1　三升=約5.4ℓ
※2　地質年代の一つ。約180万年前まで

三升坂：坂下町