いつ起こるか分からない地震。
命を守るためには、事前の備えが大切です。
皆さんは、地震が発生した時に備えて、家具類の転倒等防止対策を行っていますか。地震発生時のけがの多くは家具類の転倒などによるものです。自分や家族の命を守るためには、日頃からの備えが大切です。今回の特集では、家具類転倒等防止対策を紹介します。
◆家具類の転倒などがもたらす3つの危険性
地震による被害から身を守るためには、住宅の耐震化と家具類の転倒等防止対策が重要です。家具類の転倒などがもたらす危険として次の3つが挙げられます。
◇「けが」の危険
過去に発生した地震によるけがの要因の約3〜5割が、家具類の転倒などによるものです。
・家具類の転倒などが原因となったけがの割合
出典:東京消防庁調べ
◇「火災」の危険
家具類の転倒により、電源コードのカバーが破れたり、収納物がストーブなどの火や電気を使用する器具に落下することで、火災になってしまう恐れがあります。
◇「避難障害」の危険
部屋の出入口付近に設置した家具類が転倒すると、扉をふさいでしまい、避難の妨げとなる恐れがあります。
地震が発生した際、家具類は必ず倒れたり、落下したりするものとして考え、転倒等防止対策をしておくことが大切です。
◆STEP1 生活空間を見直しましょう
家具類を固定するなどの対策を行う前に、家具類を減らしたり、部屋のレイアウトを工夫するなどして生活空間を見直しましょう。
◇集中収納
ウォークインクローゼットや備え付けの家具類がある場合は、衣類や日用品などを集めて収納し、居住スペースと収納スペースを分け、生活空間にある家具類を減らすことを検討しましょう。
◇レイアウトの工夫
家具の配置を見直し、転倒による負傷や避難の妨げにならないレイアウトに変更しましょう。
Point:
・出入り口や廊下には家具類を置かない
・窓際には大型家具類を置かない
・高さの低い家具類を使用する
・寝る場所などでは、家具類が倒れて下敷きにならないようレイアウトを工夫する
◆STEP2 家具や家電製品の転倒等防止対策をしましょう
◇1 家具の固定 -方法は大きく分けて2つ
(1)ネジを使って固定する方法
・L型金具
ネジを使って固定する方法のなかで、最も転倒防止効果が高い方法です。
・ベルト式器具
取り付ける場所や家具の形状に応じて、ベルト式器具を活用しましょう。
Point:ネジで固定する場合は、壁裏の下地の柱などに取り付ける。
※壁の下地の柱などの位置は、専用機器などを用いて判断しましょう。
(2)ネジを使わず固定する方法
・ポール式器具
家具と天井との間に突っ張り棒を家具上面の両端(できるだけ壁側)に設置します。
・ストッパー式器具
家具の下に器具を挟み込んで、家具を壁側に傾斜させて倒れにくくします。
Point:ポール式器具とストッパー式器具などを組み合わせて使用すると効果が高い(L型金具と同等)。
二段重ねの家具類は、上下を平型金具などで連結して一体化した上で固定しましょう。
(3)その他の対策方法
・重いものは低い場所へ
重いものを下に、軽いものを上に収納して、家具を倒れにくくしましょう。
・飛び出し防止器具
物が飛び出さないよう、引き出しや開き扉には、飛び出し防止器具を取り付けましょう。
・照明器具
吊り下げ式の照明器具は落ちてこないよう、直付き照明器具に交換するか、ワイヤーなどを使い、数か所を天井に固定しましょう。
・飛散防止フィルム
窓ガラスは、飛散防止対策済みのガラスに交換するか、飛散防止フィルムを貼りましょう。
◇2 家電製品の固定
(1)テレビ
・テレビ本体とテレビ台の固定
テレビ本体とテレビ台をネジなどで固定しましょう。固定ができない場合、ストラップ式器具や粘着マットで固定しましょう。
・テレビ台と壁・床の固定
L型金具やベルト式器具などで固定しましょう。キャスター付きのテレビ台の場合は、ゴム製キャップを付けるなど、転がらないようにしましょう。
(2)冷蔵庫
ベルト式器具などで冷蔵庫の上部と壁を固定しましょう。
(3)電子レンジ
電子レンジ本体とレンジ台をストラップ式器具などで固定し、レンジ台は壁と固定しましょう。
◆転倒防止器具の効果
※詳細は本紙4ページをご覧ください。
実験概要:
・食器棚(高さ1800mm、自重65kg、収納物50kg)
・フローリング・床
・震度6強の阪神・淡路大震災時の地震波を使用
(家具類の転倒・落下防止対策に関する調査研究会/東京消防庁)
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