歴史民俗資料館の学芸員・田中が町にまつわる歴史や文化等を紹介するコーナーです。
◆各地で働く黒鍬(くろくわ)衆
先日、和歌山県立博物館の方が史料調査のため来館されました。和歌山県で昔の堤防が発見され、この堤防について調べたところ「尾張者」という人物が池や堤防の工事に関わっていることが判明したそうです。この「尾張者」が、知多半島の「黒鍬衆」のことではないかということで三井家文書の調査を行いました。
江戸時代、農業だけでは年貢を納めることができなかった尾張藩では特別に、他国への出稼ぎを認めていました。特に盛んだったのが「黒鍬稼ぎ」という土木作業でした。
黒鍬とは、「鍬仕事に玄(くろ)い(優れている)」というのが語源と言われ、また「黒い大きな鍬を使っていたから」とも言われています。普通の鍬の倍もある鍬を使うので、仕事も速く、土木技術にも優れていたので「知多の黒鍬師」と各地で重宝されていました。
「知多の黒鍬師」が、和歌山県の堤防に関わっていたのか…。様々な資料から誰も知らない昔の事を考える、歴史の面白いところです。
「黒鍬衆」について資料・情報をお持ちの方は資料館まで!
参考:武豊町誌本文編、こんなこともあった知多の昔
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