歴史民俗資料館の学芸員・田中が町にまつわる歴史や文化等を紹介するコーナーです。
◆ちょっと昔の道具『薬箱』
みなさんの家には、薬箱・救急箱はありますか?昭和30年頃までは、行商による売薬(ばいやく)さんの「配置薬」が多くの家庭で利用されていました。
この「配置薬」は、売薬さんが用意した専用の箱に薬を入れて各家庭に備え、次に売薬さんが訪れた時に、使用した分だけお金を支払い、古くなった薬を取替え、新しい薬を補充するというシステムです。このシステムは、江戸時代に始まりました。昭和前期の薬箱は引出し式の赤い箱で、取扱店や薬の広告が記されています。戦後は物資不足によりボール紙製になります。
お医者さんにかかるのも、薬を手に入れるのも大変な時代には、薬箱は家族の健康管理の必需品でした。そして売薬さんがくると紙風船などお土産をもってきてくれたので、子どもたちにとってうれしいお客さんでもありました。
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