歴史民俗資料館の学芸員・田中が町にまつわる歴史や文化等を紹介するコーナーです。
◆蛇車(じゃぐるま)祭りのはじまり
知多半島と言えば山車を曳(ひ)く祭りですが、大足区の「蛇車祭り」は、神社の境内で奉納(ほうのう)花火が行われる知多半島の中でも珍しい山車祭りです。なぜ蛇車祭りでは、花火を奉納するのでしょうか。
昔、このあたりの海に住んでいた竜の娘が、人間に恋をしました。娘が、両親の「海に戻りなさい」という命(めい)を拒むと怒った父竜が呼んだ稲妻に打たれ、娘竜は亡くなってしまいました。このような悲恋伝説が残っており、亡くなった娘竜の霊を慰(なぐさ)めるために、祭りを行うようになったのです。
この伝説にちなんだ「蛇ノ口(じゃのくち)花火」は、山車の上に乗った神男(しんおとこ)が2本の筒花火を左右に振り、山車全体を前後に動かします。まるで本当に竜が火を吹いているようです。また花火には元来(がんらい)、慰霊(いれい)や疫病退散(えきびょうたいさん)の意味があることから花火奉納が行われるようになったのではないでしょうか。
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