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私のカルテ No425

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愛知県津島市

■結核
津島市民病院 呼吸器内科主任医長
佐藤 健太(さとう けんた)

結核という言葉をどこかで耳にしたことがあるかと思います。本であったりテレビであったり、身近な人にかかった方がいたり。みなさんの結核に対する印象はどうでしょうか。昔の病気という印象をお持ちの方もいれば、中にはかつての不治の病と言われていた頃の印象を持っている方もいるかもしれません。結核は古代ミイラにその痕跡がみられるほど古くからある病気ではありますが、決して昔の病気ということなくまだまだ現在でも存在する病気です。欧米先進国はかなり前から結核の低蔓延国であったのに比べ日本は長らく結核の中蔓延国でありました。日本も2021年にようやく結核の低蔓延国入りとなりましたがそれでもまだ年間に1万人以上の方が結核を発病しています。

結核は菌をだしている肺結核の人が咳などをした際に結核菌が空気中に飛び散り、それを周りの人が吸い込むことで感染します。ただ感染してもすべての人が発病するわけではありません。感染した人の約10%の人が発病するとされており、感染しても発病しないまま生涯を終える方も多くいます。発病の多くは感染から2年以内におこりますが、その後も免疫力の低下などにより発病することがあります。

結核の発病が疑われた場合、胸部レントゲン検査やCT検査、喀痰(かくたん)検査などを行います。そこで結核と診断されても全員が入院するわけではありません。検査で結核菌がたくさん排菌されていると考えられる時は入院治療となりますが、排菌していないと考えられる場合は外来での通院治療を行います。

かつては治療法がなく1950年以前の日本人の死因のトップで「亡国病」といわれた結核も現在では複数の薬剤を使用して治療することが可能になりました。ただ標準的には6カ月、時にはそれ以上の期間、薬をしっかりと飲み続ける必要があります。なぜなら薬を途中でやめてしまうことにより結核が薬に耐性を持ってしまうとその後の結核治療に困難が伴ってしまうからです。そのため治療期間の間、確実に薬を飲むことができるように保健所等の介入のもと薬の飲み忘れがないか確認する方策がとられています。

結核は世界的にみるとまだまだ多い感染症であり、日本ではその数は減ってきているといっても油断は禁物です。繰り返しにはなりますがもし結核になってしまったらまずは出された薬をかかさず飲み続けること、それが基本ではありますがとても重要なことになります。

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