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私のカルテ No426

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愛知県津島市

■新しいCT装置を導入しました
津島市民病院 放射線科医師
中島晴菜(なかじまはるな)

津島市民病院では2023年10月から、新しいCT装置を導入しました。今回はこの装置の強みについてご紹介したいと思います。
そもそもCT検査とは、コンピューター断層撮影法(Computed Tomography)の略称です。エックス線を人体に照射し、臓器による吸収値の違いを測定して人体の輪切りの画像を出力しています。体を傷つけずに体内の臓器の様子を観察することができ、現代の日本の医療現場においては欠かせない検査の1つです。
津島市民病院には現在2台のCT装置があり、昨年度に1台が新規装置に更新され、今回さらにもう1台が新規装置に更新されました。今回新しく導入されたのはシーメンス社のSOMATOM Driveという装置で、これまで同検査室で稼働していたCT装置の後継機にあたります。

この装置の強みは2管球CTであることです。CT検査では体の周りを「管球」と呼ばれる機械が回転することで撮影を行います。管球はエックス線源と検出器からなり、エックス線を人体に照射し、通過したエックス線を検出することで画像のためのデータを収集しています。2管球CTでは1つの管球しかないCT装置と比較すると単純に2倍のスピードで撮影することができます。数秒の差ではありますが、検査時間が短縮できるのはもちろん、シャッタースピードが早いため動きのある臓器でもブレの少ない画像となります。
CT検査を受けたことがある方は覚えがあるかもしれませんが、CT検査では撮影部位によって「息止め」が必要になることがあります。実は、呼吸の動きによって胸だけではなくお腹の臓器も位置が移動してしまいます。画像がブレてしまうと、臓器をしっかりと観察することができなくなるため、胸や腹部の検査では撮影時に数秒間息を止めるようにお願いしています。2管球CTではこういった息止めの時間を短くできるため、検査による負担が少なくなります。
また、心臓など自分の意思で動きを止めることが難しい臓器でもブレの少ない綺麗な画像を撮影できるのが利点です。これまで稼働していた装置も2管球CTでしたが、後継機となり管球の性能が向上したため、より鮮明な画像を撮影することができるようになりました。
その他にも、金属によるノイズを減らすことができ、骨の手術や歯の治療などにより体内に金属がある方でも以前より綺麗な画像が得られます。また、被ばく量も従来のCTより低減しています。

以上のような装置の特徴を活かし、速やかで、楽で、安全な検査を心がけ、地域医療に貢献できるよう努めてまいります。

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