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私のカルテ No427

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愛知県津島市

■胆石発作について
津島市民病 院外科医師
宍戸大斗(ししどひろと)

◇胆嚢(たんのう)とは?
肝臓という食べ物から栄養を吸収するために重要な役割を果たす大きな臓器がお腹の上のほうにあるのはご存じかと思います。肝臓の下には胆嚢という小さな袋状の消化液をためる器官があります。肝臓では胆汁という消化液もつくっていますが、胆嚢はその消化液をためて食事のタイミングでそれを押し出す役割をしています。

◇胆石とは?
胆汁の中にはコレステロールやビリルビンなどと言われる物質が含まれており、これが肥満や急激な体重減少、加齢、アルコール性肝疾患などによって過剰になり結晶化(集まって塊になる)することで泥となり、ゆくゆくは石となってしまいます。石は一般的に1年で約1~2mmのペースで成長していき、形成されてから5~20年ほどで問題を起こしてきます。ちなみにどれくらいの人に胆石があるかというと、成人では約10%、高齢者だと約20%の人が胆石を持っているといわれています。

◇胆石発作とは?
石が大きくなってくると胆嚢管という胆嚢の出口を一時的にふさいでしまうことがあります。こうなると胆嚢内の圧が上昇して、お腹の右上のほうの疼痛(とうつう)(痛み)や嘔気(おうき)(吐き気)を引き起こします。これを胆石発作といいます。胆石発作は一般的には食後、突然始まり徐々に増悪し1時間ほどで激痛となります。痛みは長いと12時間ほど続きますが多くの場合は徐々に和らいでいきます。運が悪いとはまりこんでしまった石が胆嚢の出口から抜け出せず、中でばい菌が繁殖してしまい、急性胆嚢炎という感染症を引き起こす場合もあります。

◇胆石の診断は?
症状がある場合もない場合も腹部超音波検査や腹部CT検査、MRI検査などで見つけることができます。

◇胆石発作の治療は?
痛みを何度も引き起こしているような場合には手術が勧められます。手術は全身麻酔(眠りながら)で腹腔鏡というカメラを使っておへそとお腹の上のほうに1cm位の穴を4つほどあけることで行うことができます。手術では胆嚢を胆嚢管(出口)のところで切って、それを取り出すということをします。
ちなみにですが、いったん炎症を起こし胆のう炎という状態になってしまいますと、すぐ手術ができる場合もありますが、場合によっては経皮経肝胆嚢ドレナージといって、皮膚から胆嚢に管をおいてくるような治療がまず必要になることもあります。こうなると治療期間が長引きます。ゆくゆくは手術が必要になりますが、いったん炎症を起こしてしまうと手術時間が長引いて合併症が増えてしまう可能性も高いです。また腹腔鏡で手術ができず、開腹(お腹を大きく切ってあける)しなければならなくなることもあり、こうなると術後の痛みも強くなりますし入院期間も長引いてしまいます。

◇手術以外の治療は?
胆汁酸(ウルソデオキシコール酸)という薬を内服することで小さな石であれば半年ほどで溶かすことができますが、大きな石ですと溶けるのに何年もかかったり溶けなかったりすることも多々あります。溶かすことができたとしても半分の人で5年以内にまた症状のある石がでてくるといわれています。

◇おわりに
当院では年間70~80例ほどの腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行しております。食後の腹痛を繰り返している場合は胆石の可能性もありますので、受診をお勧めします。胆石とすでに診断されていて治療を希望される場合もぜひ当院で一度相談してみてください。

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