文字サイズ
自治体の皆さまへ

〔院長コラム〕一緒に考えましょう 健康のこと 医療のこと(87)

37/42

愛知県津島市

市民病院 院長 川井覚

■緩和ケア病棟のお話
前回このコラムで「緩和ケア」とは、がんと診断されたときからがん治療と並行して行われる、身体的・精神的な苦痛をやわらげるためのケアのことだと紹介させていただきました。
緩和ケア病棟は、がんによる苦痛をやわらげ、患者さんが自分らしく、いわゆる“いい”時間を過ごすことができるようにサポートすることを目的とした病棟です。
緩和ケア病棟は最期の場所であり、入院したらもう出られないと誤解されていますが、症状が緩和され、ご自宅の環境が整えば、退院も可能です。ご自宅での生活を希望される方には、ご自宅での生活が想像しやすいように話し合いを重ね、患者さんとご家族が共に安心してご自宅で過ごして頂ける方法を一緒に考えていきます。
当院の緩和ケア病棟は、全室個室でご家族が患者さんのそばに付き添える環境を整えています。患者さんの病状が急変した時も迅速な対応をとることができるよう、付き添うご家族の休息や一時寝泊まりするための家族控室も備えています。また、患者さんができるだけ自宅にいるときと同じように過ごせるよう、簡単な調理をして好きなものが食べられるなど、自由に使えるキッチンや談話室、多目的室も用意しています。
緩和ケア病棟には医師を中心にさまざまな役割を持つスタッフがいて、1つのチームを構成しています。医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、ソーシャルワーカーなどが患者さんとご家族をサポートしています。そして医師やスタッフが患者さんの容態をチェックするだけでなく、話したいことや訊きたいことがある方と長話をすることもあります。不安を解消し、おしゃべりを楽しんで気晴らしをするといった「普通のこと」ができる環境で過ごしていただけるよう配慮しています。
緩和ケア病棟では、積極的な延命治療は行いませんが、病状の進行に伴う痛みや不眠、倦怠感などさまざまな症状をやわらげるよう対応します。1日のうちで眠っている時間がだんだん長くなり、自然な状態で最期を迎えられるよう見守ります。
がん患者さんが最期を迎える際に専門的なケアをうけられる場所として、緩和ケア病棟を1つの選択肢として覚えておいてください。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU