■今も昔も大事なペット
以前、歴史探訪クラブ127号(平成23年10月5日号)で、縄文人と犬が仲良しの関係だったことをお伝えし、反響がありました。伊川津貝塚の調査では41頭の縄文犬の墓が見つかっており、日本でも有数の犬を飼っているムラだったようです。
さて、その縄文犬にまつわる大発見がありました。伊川津貝塚の縄文犬の墓から、貝で作られたアクセサリー(貝玉)が日本で初めて見つかりました。犬が付けたものか、あの世に旅立つ犬に持たせたものかはわかりませんが、飼い主の縄文人が犬に特別な思いを持っていたことは間違いありません。
この貝玉は巻貝で、ひとつは後ろ側を削って穴を開け、もうひとつは傘のような体層部と呼ばれる側面を削って穴が連続して見えるようにしたものです。この2種のアクセサリーは、関東地方でも見つかっていますが、「犬のため」とは聞いたことがありません。豪華な素材ではないですが、便利な道具もない当時、愛犬のためにコツコツと貝を加工する縄文人の姿を思うと、実に微笑ましいです。
犬は主に狩りのパートナーとして大事な家族であったというのが定説ですが、人間と同じように貝のアクセサリーを一緒に墓に入れるとは、渥美半島の縄文人は本当に犬を大切にしていたようです。
さあ、新しい年を迎え、縄文人に負けぬよう、愛犬とともに散歩にでも出掛け、犬との時間を楽しんでみてはいかがでしょうか。
(学芸員 増山禎之)
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吉胡貝塚資料館【電話】22-8060
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