■理解して尊重して支え合って
全国で12月3日〜9日は障害者週間と定められており、誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う共生社会の実現に向けて、広く障害者の福祉についての関心と理解を深めるために設定されています。
今回は碧南高浜聴力障害者協議会の人たち(3人とも生まれつき耳がきこえない)に取材を行いました。耳がきこえない人(ろう者)たちが過ごす日常や不安・苦労、そして耳がきこえる人とろう者が共生するためにできることを知る、考えるために特集しました。
この特集が「無音の世界で生きる」ということを理解する一つのきっかけになり、ろう者だけでなく、他人に対して思いやりのある行動につなげてもらいたいと思います。
▽碧南高浜聴力障害者協議会会長 中村貴恵(なかむらきみえ)さん
趣味は読書や旅行。旅行先でおいしいカレー屋さんを巡るのが楽しみ。
■知ってほしい!無音の世界の困りごと
ろう者がどんなことに困っているか知っていますか?その一部を紹介します。把握することで配慮につなげましょう!
▽情報が入らない、入りにくいです
スマートフォンやテレビ、新聞、知人から情報を得ていますが、災害時など緊急で必要な情報は把握が遅れたり、例えば病院の診察などで難しい情報は理解できないことがあります。他にも、電話での会話はできないため、無人駅で困ったことがあっても通話機だけでは解決できません。
▽見えない場所での意思疎通が非常に困難です
ろう者は視覚からの情報が生活する上で必要不可欠です。そのため、暗い場所など見えにくい状況は困ります。手話ができても、それが見えなければ会話をすることができません。
▽音での注意喚起は気付けません
自転車のベル、自動車のクラクション、救急車や警察車両のサイレン、電車の遮断機など音で注意喚起をするものが数多くありますが、気付くことができません。
▽見た目からろう者とは判断できません
そのため無視された、怒っているのかなと勘違いされることがあります。また自分から耳がきこえないことを先に説明しなくてはならないことが多く、その度に疲れてしまいます。
▽困っているろう者がいたら
まずは気にかけてもらえるとすごくうれしいです。そして、肩をたたくなど合図を送る・視界に入ってから話かける・口元を見せてゆっくり話すなどの対応をしてもらえるととても助かります。
■きくこと以外何でもできます!
耳がきこえないことを理由に「できない」と判断されてしまうことがあります。以前道を尋ねられた際に、会話がうまくできないことから諦めて去って行かれたことがありました。教えてあげられるのにとても残念でした。
耳がきこえなくても、車の運転やスポーツだって他の人と遜色なくできます。聴覚障害者のための世界規模の総合スポーツ競技大会「デフリンピック」というものも実は100年前からあります。例えば、陸上競技などのスタートのピストルをライトに変えるなど、工夫やちょっとした支援があれば何でもできるのです。困ることはありますが、できることもたくさんあるということを知ってもらって、いろんなことを一緒に楽しんだり共感することができるとうれしいです。
▽榊原廣和(さかきばらひろかず)さん
金魚を育てるのが趣味。たくさんの種類の金魚を飼育してきた。
※「榊原」の「原」は環境依存文字のため、置き換えています。正式表記は本紙をご覧ください。
■手話でつながれた!
皆さんとスムーズに会話を楽しめたらどんなに幸せだろうかとよく思います。一度、店に行った際に手話のできる店員さんに対応していただいたことがありました。自分がろう者であることを伝える必要がないと本当に疲れず、時間もかからずに注文できました。何より理解してくれたという感動が残りました!
皆さんと手話ができる、もしくは手話通訳者が増えることが最大の理想ではありますが、どなたでも一目で理解できる看板(ピクトグラム)の設置や情報の伝え方として映像を準備するなど、ろう者だけでなく誰もが生活しやすくなる手立てはたくさんあります。
まずは、ろう者について基本的な部分だけでも知ってもらい、そこから筆談や手話などたくさんあるコミュニケーションの取り方を一緒に考えてもらえると共に生きていける社会になると感じますし、そう願っています。
ろう者でも手話ができない人や筆談が苦手な人もいます。人それぞれの得意・不得意、性格・個性があります。最終的にはどんな人かということを理解し合うことがとても重要だと思います。相互理解ができれば「心と心」深い部分でつながれると思いますし、これが共生社会の目標だと感じています。
誰もが生活しやすい社会を一緒に実現できるととても幸せです。
▽碧南高浜聴力障害者協議会副会長 山口雅裕(やまぐちまさひろ)さん
スポーツをして体を動かすのが好き。最近はソフトボールに熱中している。他にも古本屋巡りなど多趣味。
■手話ならではのこんな魅力!
▽言葉をただ伝えるだけでなく思いや感情が込められます
手話には人や物事の様子から作られているものが多く、全てに背景があり、とても奥深く楽しいものです。日本語では表現できないような手話もあります。
▽どんな場所でも相手が見えれば伝えられます
離れた場所や声が届かない場所でも見ることさえできれば会話が可能です。例えば駅でお互い別々のホームにいるときや車窓越しにいるときなどでも会話ができます。
■あなたも手話を学んでみませんか?
▽手話教室(入門編)
※詳しくは広報へきなん5月号掲載予定
問合せ:心身障害者福祉センター
【電話】48-1720
▽手話講習会ステップアップ講座
※詳しくは広報へきなん9月号掲載予定
問合せ:福祉課社会福祉係
【電話】95-9884
▽他にも手話サークルなどの活動があります。
問合せ:市民活動センター(サポプラ)
【電話】42-6561
問合せ:福祉課社会福祉係
【電話】95-9884
<この記事についてアンケートにご協力ください。>