豊川市が誇るモノづくりと、それに携わるヒトを紹介します。
■vol.57 前人未到への挑戦
アグリガスコム株式会社 代表取締役社長・西山暢一さん
◇世界初・冬のブルーベリー
太陽光発電など、再生可能エネルギーを利用した農業を行うアグリガスコム。大学で開発された生産方法を活用し、世界で初めて冬のブルーベリー栽培を開始した。「クリスピーベリー」として、全国の百貨店に出荷し、好評を得ている。西山さんは「誰も成し遂げていないことは難しさもあるが、大きなやりがいを感じる」と語る。
◇前例のない栽培
ブルーベリーは通常、夏に実がなる果物で、収穫できる期間は約2週間と短く、年間を通しての栽培が難しかった。そんな中、東京農工大学がブルーベリーの通年生産システムを開発したことに着目し、アグリガスコムはそのシステムを取り入れた植物工場の操業を開始。ブルーベリーの冬季出荷に成功した。工場では、温度や日照時間など、さまざまな条件をコントロールすることで、一年の間に何度も実がなる状態を作り出し、長期的な収穫も可能にしている。
栽培を開始した当初、大学での実験どおりには育たなかったため、諸条件を変化させ、実や木の状態の確認を繰り返した。大学の協力も得ながら試行錯誤した結果、年間を通して栽培が可能な環境を見つけ出すことができた。
こうした苦労を経て誕生したクリスピーベリーは、かんだ時のパリッとした食感と実の大きさが特徴。糖度も高く、冬に出荷されるものは16度以上の甘さになることもある。西山さんは「環境の管理を徹底することで、実の大きさや甘さにつながっている」と話す。
◇クリスピーベリーを多くの人へ
店頭に並ぶと即日完売するほど、人気の高いクリスピーベリー。「おいしいという声を聞くとうれしい。いずれは海外にも輸出し、世界中の人に味わってもらいたい」と西山さん。世界初の誇りを胸に、これからもおいしいブルーベリーを作り続けていく。
◎アグリガスコム株式会社
植物工場:豊川市内
2018年設立。再生可能エネルギーを利用した農業を行う。植物工場は2021年操業開始。ブルーベリーの通年生産により、世界で初めて冬季出荷に成功し、全国各地から好評を得ている。
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