■災害時の医療拠点・豊川市民病院
大規模な災害が発生した時、なくてはならない医療。命の危険に関わる重傷者が増加する中、1人でも多くの命を救うことが求められます。
東三河の地域中核災害拠点病院に指定されている豊川市民病院は、大規模災害によって甚大な被害が生じ、診療所や医療機関などが診療活動を十分に行えなくなった際に、この地域における医療活動の拠点となります。被災地で応急救護を行う救護所や救急病院などと連携し、重症患者への適切な医療を確保する他、全国からの医療支援をまとめ、支援が必要な場所へ提供したり、医療チームを派遣したりするなど、災害医療の中心となって発災直後の医療体制を構築する役割を果たします。
豊川市民病院は、災害時に医療提供をするため、医療材料の備蓄をはじめ、大規模災害を想定した訓練を行うなど、日頃から災害に備えています。また、災害派遣医療チームDMAT(ディーマット)の被災地派遣といった、重要な役割も担っています。
今回の特集では、DMAT(ディーマット)隊員の声を通して、災害医療について紹介します。詳しいことは、豊川市民病院庶務課へお問い合わせください。
【電話】0533-86-1111
◇災害に強い豊川市民病院
・震度7の揺れを震度4程度に軽減できる免震装置の他、地下水利用システムにより、自前で水の確保ができます。
・非常用発電機では、約3日間発電可能。また、燃料は地下の貯蓄タンクに備蓄しています。
・入院患者用、職員用ともに約3日分の食料・飲料水の他、一定量の薬品と医療材料を備蓄しています。
(注記)豊川市民病院は災害医療の拠点病院であり、避難所ではありません。大規模災害時は、重症者の治療を行っているため、避難者を受け入れることはできません。ご理解とご協力をお願いします。
■《Interview》DMAT(ディーマット)隊員に聞く、災害医療のリアル
・豊川市民病院DMAT(ディーマット)隊員(統括DMAT(ディーマット)) 呼吸器外科医師 彦坂 雄
・豊川市民病院DMAT(ディーマット)隊員 診療放射線技師 加藤 敬之
・豊川市民病院DMAT(ディーマット)隊員 救急看護認定看護師 山本 裕美
◇災害派遣医療チームDMAT(ディーマット)とは
災害急性期(災害発生からおおむね48時間以内)に活動できる機動性を持った医療チームのことで、災害派遣医療チーム“Disaster Medical Assistance Team(ディザスターメディカルアシスタンスチーム)”の頭文字から、「DMAT(ディーマット)」と呼ばれています。地震や津波、台風などの大規模な災害や、テロなどで傷病者が出た際に、発生直後から被災地で医療・救護活動をするために資格を取得し、専門的な研修や訓練を受けています。令和6年能登半島地震の被災地にも、豊川市民病院から2隊を派遣し、医療・救護活動を行いました。
Q:災害時のDMAT(ディーマット)の活動内容について教えてください。
彦坂:職種によって業務は変わりますが、DMATは災害発生後、早期に被災地へ向かい、現地の災害本部の支援や医療活動、傷病者を安全な地域へ搬送することなどを行います。重傷者が増加する災害急性期は、医療の需要が高まる一方、現地で医療を提供することが難しいため、私たちDMAT(ディーマット)が派遣されます。被災地では医療を必要とする傷病者が多くいます。その方々に適切な医療を迅速に提供し、一人でも多くの命を助けることが使命です。
山本:看護師は、救急看護の知識などを活かし、医師の補助として診療活動をします。また、現地の状況によって、臨機応変な対応が求められます。
加藤:普段は放射線技師として勤務していますが、DMAT(ディーマット)では業務調整員の役割を担っています。業務調整員は、被災地の情報収集や連絡調整の他、現地での宿や食料の手配など、隊員が活動しやすくなるように後方支援を行います。
Q:DMAT(ディーマット)隊員はどのような研修や訓練を行っていますか?
彦坂:実際の災害現場では、どの場面で活動することになるかが分からないため、あらゆる場面の対応方法を学びます。現場での診察シミュレーションや場面に応じた患者の処置方法・病院への振り分けなどの実技研修も行います。
加藤:資格の取得後も技能を維持するため、定期的に研修があります。また、国などが実施する訓練にも参加し、重傷患者を処置する訓練などを行っています。訓練当日に想定の被災地が知らされ、その場所へ駆けつける訓練もしています。
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