「生まれてきてくれて、ありがとう」
豊明市長 小浮正典(こうきまさふみ)
「生まれてきてくれて、ありがとう」。この思いを多くの人に伝えたい。そう話すのは難病と闘い7歳で亡くなった長女の絢音(あやね)さんを振り返る市内在住の井清睦代(いせいちかよ)さんです。
絢音さんは「ファロー四徴症」という心臓に4つの疾患を併せもつ病気を抱えて生まれました。さらに5歳のときに「拡張型心筋症」を発病しました。そこからの2年間は入退院を繰り返す闘病生活となりました。それに負けず、市立の療育施設「どんぐり学園(現在は豊明市児童発達支援センター「どんぐり」に移行)」に通園を続けて成長し、小学校に入学。入学式にも出席しました。しかし、4月13日には再び入院。「今を生きることで精一杯でした」と睦代さんは言います。
「いつも笑顔を忘れず、周りのみんなに微笑みかけて、こちらを幸せな気分してくれました。とっても頑張り屋さんで、泣きごとを言わず、諦めるということもありませんでした」。絢音さんが亡くなってから20年が経ちましたが、睦代さんの心の中では今も絢音さんは生き続けています。
今年、睦代さんが綾音さんとの7年間を振り返ったエッセイ「彼女の運命わたしの使命」が出版され、このたび市の児童館等に本が寄贈されました。「生きたいというあるがままの本当の思いに忠実に、精一杯頑張って生きた絢音を私は尊敬します」。本ではその時々の睦代さんの思いや時には激情ともいうべき感情が赤裸々に綴られています。絢音さんへの真っすぐな愛には多くの方が共感されると思います。読後、私は、すべての子どもたちに生まれてきてくれてありがとう、と幸せをただ願いました。
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