■里山のスミレ
~つつましく春を彩る雑木林の妖精たち~
「二村山の春は?」と問えば誰もが「桜」と答えるでしょう。そんな二村山の華やかな桜の花の足元で、つつましくも精一杯春を彩る里山のスミレたちをご紹介します。
3月下旬、ヤマザクラとともにいち早く開花するのはマキノスミレです。植物学者牧野富太郎にちなんで名づけられ、直立する細い葉が特徴です。
4月に入りソメイヨシノが満開になる頃にはニオイタチツボスミレやフモトスミレが花を咲かせます。ニオイタチツボスミレは紫色の花の中心がはっきりと白く、その名の通り花には微かな芳香があります。フモトスミレは他の二種より小型で花が白く、葉の裏が紫色を帯びています。
これらのスミレは道端や畑には生育せず、見られるのはほぼ明るい雑木林に限られています。市内では暗い林や竹やぶが増えており、里山保全活動が行われている二村山以外ではほとんど姿を消してしまったかもしれません。
この春、二村山で足元を注意して探せば、その可憐な姿に出会えるかもしれませんよ。
豊明市史(自然)執筆員 浅野守彦
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