■伝統的工芸品とは
伝統的工芸品として指定されることにより、「伝統的工芸品」の名称が使用可能となります。
また、産地組合などが振興計画などを策定し認定を受けることにより、後継者育成や需要開拓といった取り組みについて、伝統的工芸品産業支援補助金の支援を受けることが可能となります。支援補助金の活用により、産地振興につながることが期待されます。
これまで、南部鉄器、輪島塗、西陣織など243品目(※)が指定されています。県内では17品目となり登録数は東京都についで、京都府と並ぶ全国2位となりました。
(※)令和6年10月17日時点
■佐渡無名異焼とは
無名異焼は佐渡金銀山周辺から採れる無名異土(酸化鉄を多量に含んだ赤土)を原料とする焼物で、19世紀初頭に無名異土を混ぜる赤色の楽焼が最初に始まり、明治時代に高温で硬質に焼成する現在の無名異焼が完成しました。
完成した焼物は堅く焼き締まっているために金属音を発する特徴をもち、その色合いは使用するほどに光沢を増し、独特の落ち着いた趣となります。
■無名異焼と佐渡金銀山のかかわり
無名異焼の原料となる無名異土は、約3千万年前、活発な火山活動によりもたらされたもので、この火山活動により金銀鉱脈も多く形成されました。
無名異土は金銀鉱脈の周辺で採れるため、江戸幕府の財政を支えた幕府直轄の金銀山にも由縁が深く、歴史的背景から見ても伝統的な産物とも言えます。
当時、金銀山の影響により相川の町には多くの人々が暮らしており、日用食器の需要が高まったことで、日本海を北上していた北前船が、備前や越前焼などの器を積んで入港していたほどでしたが、しばらくは佐渡の焼き物がなく、江戸時代後期に陶器を作り始めたのがきっかけと言われています。
佐渡の焼き物は、坑内の照明に用いる「カワラケ」や精錬用の鞴(ふいご)の吹き口に使用する「羽口(はぐち)」が始まりとも言われています。
この羽口屋であった伊藤甚兵衛が、無名異土を用いた楽焼を焼成したことから「佐渡無名異焼」が誕生しました。
■11月13日 伝統的工芸品の申請団体である佐渡無名異焼の会が市長を訪問し、指定を直接報告しました
※佐渡無名異焼の会につきましては本紙をご覧ください。
◇佐渡無名異焼の会 永柳 修一 さん(永柳陶房)
「いろいろな方からお力添えをいただいて、悲願の登録となりました。
無名異焼に光を当てたいという思いで登録に向けて活動してきましたが、後継者の育成、原材料の確保といった、事業者だけでは対応できない、いろいろな課題が山積しているので、これが「始まり」だと考えています。
私たち事業者も、当事者として頑張ってまいりますので、今回の指定を契機に、皆さまから佐渡無名異焼を応援していただければ嬉しいです。」
◇渡辺市長
「小木町の重要伝統的建造物群保存地区認定、「佐渡島の金山」の世界文化遺産登録に続き、「佐渡無名異焼」という、佐渡の文化が日本を代表する文化に認定されたことを大変喜ばしく、誇りに思うとともに、技術を継承し、発展させ続けてきた申請団体である佐渡無名異焼の会の皆さまをはじめ、関係者の皆さまに心からの敬意を表します。
今後は、このような歴史や文化の発信と共に、伝統技術および技法価値の再認識と次世代への継承のため、「佐渡無名異焼」の発展に取り組み、佐渡の伝統的工芸品の代表として島の魅力を感じていただけるような活用を進めていくことで、島内外そして海外でも末永く愛されるよう、関係者の皆さまとともに取り組んでまいりま
す。」
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