■乳幼児とスクリーンタイム
両津病院 副院長 診療科目/小児科 岩谷 淳先生
乳幼児にとってもスマホやタブレットなどのデジタル機器は魅力的で刺激的なアイテムです。その一方で、スマホやタブレット、テレビやビデオなどの視聴やゲームに費やされる時間(スクリーンタイム)は制限すべきであるとの意見があり、長時間のスクリーンタイムは、睡眠の質の低下、言語能力、コミュニケーション能力、問題解決能力などの発達の遅れにも影響する可能性が言われています。米国の小児科学会では『2歳未満はスクリーンタイム0=見せないこと、2〜5歳は1時間まで』を推奨していますし、日本小児科医会でも『2歳未満のスクリーンタイムは0に、2歳以上は2時間以内に』することを推奨しています。
今回、スウェーデン在住の知人から気になる話を聞きました。スウェーデンは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの初期、世界の多くの国がロックダウンで社会活動を制限する中、厳格なロックダウンは行わず世界の潮流とは一線を画した「我が道を行く」北欧の先進福祉国家です。そのスウェーデンでは、2018年以来、デジタル社会到来を見据え、『幼稚園や保育園ではすべてのこどもたちにデジタル機器を使用させる』という教育指導要領を採択したそうですが、今回、『2歳未満のこどもたちのスクリーンタイムは0に、2歳から5歳までは1日最長1時間までに』と方針転換したとのことです。
診察中に、スマホを見せてお子さんをあやしてくださる場面に時々出会います。説明をよく聞いていただけるので、ありがたいと思う一方、食い入るように動画を見つめ、帰宅する段になっても視聴をなかなかやめられない姿に少し心配になることがあります。スウェーデンでは乳幼児にデジタル機器を使用させてみたものの、節度を持って使用させるのはとても難しかったのではないかと思っています。
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