加茂市長 藤田明美
令和5年度決算から加茂市の財政状況をご説明いたします。実質単年度収支、財政調整基金残高、財政力指数、経常収支比率、実質公債費比率、将来負担比率について解説し、主要な指標について加茂市の過去の数値と比較しながら財政状況をチェックします。
用語の説明については、わかりやすくお伝えするため大まかに表現しています。
■実質単年度収支(じっしつたんねんどしゅうし)
当該年度のみの収入と支出の差です。これが赤字になると、その年度の収入だけでは必要な支出がまかないきれなかったことを意味しています。令和5年度も令和4年度に引き続き財政調整基金を取り崩すことなく黒字となりましたが、黒字額は約8千300万円減少しました。下水道浄化センターの耐震診断実施などによる下水道事業特別会計への繰出金の増加や人事院勧告に伴う給与引上げなどによる人件費の増加が主な減少の理由です。
■財政調整基金残高(ざいせいちょうせいききんざんだか)
家計の貯金に例えることができ、収入が著しく減った時や災害などの不測の事態に備えて積み立てているものです。令和5年度末の残高は約12億8千500万円で、これらの不測の事態に対応できる額となっています。
しかしながら、加茂市は、借入金返済の負担を平準化するための基金(減債基金)や市の政策的事業など特定の目的に対する財源を確保するための基金(その他特定目的基金)といった財政調整基金以外の基金が少ない状況であり、公共施設や機械設備の更新という課題を考えると、現状の基金の額は十分とは言えません。
そのため、令和6年度に将来の公共施設等の更新などの財源を確保することを目的とした「公共施設等整備基金」を新設しました。
表1 令和4年度と令和5年度の主な財政指標の比較
■財政力指数(ざいせいりょくしすう)
財政の豊かさの程度を表し、数値が大きいほど豊かであると判断できます。地方公共団体の標準的な税収入の標準的な経費に対する割合で過去3年間の平均値です。1を超えると収入が経費より多いと言えます。加茂市の令和5年度の財政力指数は0・402なので収入が足りず、国からの財源に依存している状況です。近年は低下傾向にあります。
■経常収支比率(けいじょうしゅうしひりつ)
財政のゆとりの程度を表し、数値が小さいほどゆとりがあると判断できます。経常経費(毎年度決まって出ていく支出)の経常一般財源(毎年度決まって入ってくる収入)に対する割合です。令和5年度は96・5%で、令和4年度と比較して0・6ポイント改善しました。退職手当について、総額は令和4年度と同程度ですが、経常経費に分類される定年退職や自己都合による退職者に係る退職手当が減少したことなどが主な要因です。
■実質公債費比率(じっしつこうさいひひりつ)
毎年の借入金返済額の財政規模に対する割合で、過去3年間の平均値です。18%以上となると市債の借入れに許可が必要となります。令和5年度は9・7%で令和4年度と比較して0・4ポイント悪化しましたが、起債許可団体となる18%は大きく下回っています。
■将来負担比率(しょうらいふたんひりつ)
借入金残高など負債の財政規模に対する割合で、将来負担すべき負債額について過大かどうかを測ります。財政調整基金残高の増加などにより、令和5年度は83・6%と令和4年度と比較して0・8ポイント改善しました。
表2 過去の主な財政指標
表3 加茂市の基金の状況
※市民1 人当たりの残高は令和6 年1 月1 日現在の住民基本台帳人口で算出
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