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加茂養生訓 12(食は半飽に食いて、十分にみつべからず)

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新潟県加茂市

加茂病院 富所 隆

■ーうんちの話 その2ー
私たちの腸の中には、腸内細菌と呼ばれるたくさんの細菌が住み着いていることは前回お伝えしました。人と腸内細菌は深い絆で結ばれた、共生関係にあります。
皆さんがよくご存じの乳酸菌やビフィズス菌に代表される善玉菌は食べ物の発酵に関与して、消化や吸収を助けたり、ビタミンB2・B6・B12、パントテン酸、ビタミンKなど私たちが生きていくために必要な物質を生成してくれています。

一方、食べ物の腐敗に関与する細菌は悪玉菌と総称され、アンモニアや硫化水素などの有害物質を産生して、便通異常を引き起こし、おならを増やしたりします。さらには、大腸がんや各種の病気の原因になったりもしていると言われています。
もう一つ日和見菌というグループがあります。実は、このグループの役割はまだよく分かっていません。ただ、善玉菌が優位に多いときは、善玉菌の働きを助け、悪玉菌が多くなると、今度は悪玉菌の働きを助けると考えられています。
最近、この腸内細菌の研究は格段に進み、前述の役割以外に、免疫能の調節や、血糖値の調節、ホルモンの合成、体重の調整、自閉症などとの関係にまで及んでいます。

人は食物繊維を分解することはできませんが、腸内細菌はこれを発酵分解し、酢酸・酪酸・プロピオン酸などの短鎖脂肪酸を作ります。人はこれらを吸収し、栄養源とします。また、短鎖脂肪酸は、肥満・糖尿病に関与する働きもあることが分かってきました。
短鎖脂肪酸は取り過ぎたエネルギーの消費を高めると共に、脂肪細胞への脂肪の蓄積を抑えてくれます。太った人と痩せた人には腸内フローラの組成に特徴的な違いがあります。マウスの実験では、無菌状態のマウスに、肥満マウスと痩せマウスの腸内細菌をそれぞれ移植すると、肥満マウスの細菌を移植されたマウスが太ってくることが確認されました。

腸内細菌を入れ替えることで痩せられる時代が来るかも知れませんね。

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