■高崎駅にて
南魚沼市長
林 茂男
家人から嫌がられる私の癖。性分とでもいうのか、どこに出かけても、プライベートでも「視察的」過ぎるらしく、「お父さんと出かけても楽々しない」と家内はもちろん、子どもたちにまで言われたことも。あの1月23日の東京~大宮間で発生した新幹線の架線故障による運転見合わせ(ちょうど上京出張)でもやはり癖が出た。
架線故障の影響でダイヤは大混乱。しかし、上越・北陸新幹線はJRの懸命な対応で高崎から新潟・金沢間で折り返し運転との情報。私は「何とか帰ろう」と初めて乗る東京上野ラインに。各駅停車で高崎までの所要は2時間超。車内は満員で東京を出て1時間もすると周囲のご婦人たちから「トイレに行きたい」という会話が聞こえ始めましたが、1時間に数本と思われる電車を途中下車することへの不安からか皆が我慢している様子。私もそうで高崎駅到着と同時に駆けるように多くがトイレへ。そこには長蛇の列が。
駅構内は、始発・終着駅化し旅客で溢(あふ)れかえっていました。矢継ぎ早の質問攻めに必死に対応されているJRの職員さんも往復便の正確な出発時刻が示せない。外国人観光客も多数。情報が伝わりにくく、皆が苛立(いらだ)ち殺気立った雰囲気に。思ったのは、渋谷のDJポリスのような音量の大きさと落ち着いたメッセージで仕切る対応の必要性。
同時に、3年前の大雪による関越自動車道の立ち往生も頭によぎりました。行政として事前の対応準備ができていなかった苦い経験と反省。当事者は麻痺(まひ)する、故に有事の際の行政、警察、救急など外部の連携支援が絶対に必要なこと。
群集心理に肝も冷やしました。折り返し便が予定時刻を前倒しで発車、「次の便は未定なのでなるべくご乗車を!」、このアナウンスを機に皆がわれ先に構内を走りホームへの階段を駆け上がった。私も人波に押され、急いだ1人。泣く子どもを抱えたお母さんや高齢のご夫婦にぶつからないようにするのが精一杯で手伝うこともできなかったことが恥ずかしく、悔やまれてなりませんでした。
視察を超えた体験、活かさなければ。
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