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「順三郎の散歩道」一

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新潟県小千谷市

山本山の頂上に我が町の生んだ詩人西脇順三郎の大きな詩碑があります。「この山上は我が青年時代より散策し故郷の偉大なる存在を感ぜしところなり」と刻まれています。遠くに見える越後三山と蛇行する信濃川は順三郎にとって心の故郷であり、ここは偉大な詩人を生んだかけがえのない場所なのです。小千谷市では昨年「西脇順三郎賞」を創設しましたが、この機会に「広報おぢや」の紙面をお借りし、散歩をしながら詩の構想を練ったと言われる散歩の詩人・西脇先生にちなみ、「順三郎の散歩道」と題して詩や絵画にまつわるエピソードを紹介したいと思います。

西脇先生は、明治27年1月20日に誕生し、小千谷尋常小学校、旧制小千谷中学校に学びました。子供の頃から絵が好きで、一時は画家を目指しましたが、父親の死去により断念しました。中学生の頃から「英語屋」と呼ばれるほど英語を勉強し、慶応義塾大学に進むと、フランス語、ドイツ語、ラテン語と語学の天才ぶりをさらに発揮し、ヨーロッパ文学の豊富な知識と英語圏の人たちに負けない語学力をたずさえて、29歳でイギリス・オックスフォード大学に留学しました。その頃ヨーロッパで起きていた文学・詩の世界の大変革に大きな影響を受けて帰国。明治時代から続いてきた詩の世界に新しい旋風を巻き起こし、日本における現代詩の草分けと言われる詩人になりました。昭和8年、40歳の時初めて「Ambarvalia(アムバルワリア)」(穀物祭)という日本語の詩集を出し、以後86歳になるまで13の詩集を出しました。

昭和57年(88歳)6月5日、あたかも鮭が生まれた川に戻ってくるように、故郷・小千谷に帰って亡くなりました。次号からは、いろいろな詩を紹介していきたいと思います。

(西脇順三郎を偲ぶ会会長 中村忠夫記)

問合せ:図書館
【電話】82-2724

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