■INTERVIEW
ホントカ。グランドオープンを目前に控え、設計を手がけた平田晃久さんに、ホントカ。に込めた思いや期待などについてお聞きしました。
〇平田晃久(ひらたあきひさ)さん
大阪府出身、建築家。京都大学大学院工学研究科修了後、伊東豊雄建築設計事務所に勤務し、平成17年に「平田晃久建築設計事務所」を設立。平成27年より京都大学に赴任し、現在、京都大学教授を務めている。これまでの代表作として、群馬県にある「太田市美術館・図書館」や、熊本県の「八代市民俗伝統芸能伝承館」を手がけた。
◆ホントカ。のこの設計業務、公募型プロポーザルに参加されたきっかけをお聞かせいただけますか。
平田:図書館をいくつか手がけた経験があって、図書館がもっとチャレンジングなものになっていくことに興味がありました。ホントカ。の公募型プロポーザルの要項の中に、「情報空間と実空間をどういうふうに絡ませることができるか」ということが問われていて、チャレンジングな姿勢で図書館を考えようとしているのが伝わってきました。人口3万3000人ほどの小さな町だから、先進的だけれど人間味があるデジタルと実空間の結びつきができそうだと思って応募しました。
◆今チャレンジングだという話がありましたが、これまでの公共図書館、公共施設空間に対して、何か問題意識を感じられたことがあるのでしょうか。
平田:僕が学生の時、これからは全てデジタルな空間で保存できるから、図書館や実の書籍はなくなると言われていたんです。しかし、30年経ってもなくなっていない。ただ、図書館の役割が少しずつ変わってきていて、単に情報をゲットするだけだったら本じゃなくてもいいけれど、本のある空間に身を置くことの意味は変わらず、むしろ価値が高まっているような気がするんですよね。情報空間だと無駄なく検索できる代わりに、思いもよらない本との出会いや、その周りにある情報が見えるようなことはない。図書館が本だけじゃなくて、本と一緒に何かが起こる場所、より豊かに時間を過ごせる場所に広がっていると思うんですね。だから、静かに本を読んで、それ以外のことは何もしないっていう伝統的な図書館から、少ししゃべってもいいとかお茶を飲んでもいいとなってきている。図書館がこれから先の建築のあり方に示唆するものはすごく大きくて興味深いところがあります。
◆今のお話にもあったように、図書館もこれまでとは違う役割も果たせるのかな、と職員も感じています。これからのホントカ。にどんなことを期待されますか。
平田:フロートが動いて、空間の「遊び」ができることで、実際に使われる方々が、空間を使ってできることを発見したり自分で開発したりして、やりがいや価値が引き出されていくのではないかと感じています。図書館は、探している本以外のものと出会うきっかけが重要だと思っていますが、まさにこの空間はそれが起こるような場所になっていると思います。書棚が部分的に動く図書館はあるかもしれませんが、ここまで動く図書館は世界中どこにもありません。新しい発見をする可能性や、僕が想像もしていなかったような使い方を見せてもらえるのが楽しみです。「ホントカ。」という名前の通り、本だけではなく、いろんな活動が起こって、ここが小千谷の人々が「考える」ということを共有するためのキャンバスのような場所になってほしい。いろんな人がいろんなことを考えたら、1人で全部がんばらなくても、いろいろ生まれていくんじゃないか。そういうのが連鎖していくといいですよね。
問合せ:にぎわい交流課 共創推進係
【電話】82-2724
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