フレイルは社会全体の病です。老若男女全ての市民の健康と幸せ無くして防げません。このコーナーでは、健康に役立つ情報を幅広くお届けします。
■フレイルは社会の病~フレイル予防最近の話題~
JA新潟厚生連小千谷総合病院
整形外科医師 古賀寛さん
フレイルは「若いときよりできなくなってしまった!」という加齢に伴うさまざまな衰えです。フレイルは、内臓や足腰の弱さ、痛みといった身体的フレイルや、認知症・不眠・うつ病のような精神的フレイルのほかにも、税金や年金など金銭の問題、過疎化、核家族化や独居の問題など生活環境がもたらす社会的フレイルも含んでいるため、とても多彩で対策が難しい問題です。
▽フレイル予防に関する最近の話題
・40~50歳代のフレイル予防
フレイル予防というと高齢者への対策が思い浮かびますが、最近は40~50歳代のフレイル予防が注目されています。40~50歳代は健診で異常が指摘されたり、それをきっかけに高血圧、高脂血症、糖尿病などの治療が開始されたりすることが多い年代です。女性では閉経を迎え、ホルモンバランスの変化がみられたり、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)のリスクが増加したりする年代でもあります。より早く対策を始めることが、将来の介護予防への効果を高めます。
・入院時のフレイル予防
入院中は生活環境が大きく変わり、また、病気やけが、治療の苦痛を伴うことで心身に大きな影響が生じ、その後の生活の質を大きく損ねるフレイルとなる人が数多くいます。最近はがんの治療でのがんロコモという言葉も注目されています。がんは治療も予防も進歩したことで、以前とは違い、がんとともに生きること、治療をしながらこれまでの生活を継続することが当たり前になってきました。病院でも入院中にフレイルを予防・回復するための看護が重要視され、退院後にも継続的な医療・ケアの実施を推進しています。
・社会に求められるフレイル予防のためのサポート
フレイル予防啓発に関する有識者委員会が「フレイル予防のポピュレーションアプローチに関する声明と提言」を行っています。これによれば、フレイル予防は高齢者だけでなく、全世代を対象とした国民啓発が必要で、行政・産業・教育などの各分野が連携して地域住民のフレイル予防に取り組むことが重要です。
フレイル予防のためのサポートは社会全体が担う必要がありますが、そのためにはサポートする側の人間も健康であることが大切です。
問い合わせ:健康・子育て応援課健康増進係
【電話】83-3640
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