■憶
著者:藤沢 周
発行:春陽堂書店(令和6年2月)
内野町出身の作家、藤沢周による連作短編集です。著者はこれまでも新潟を舞台にした作品を発表していますが、この作品は著者自身の「記憶」がそのまま語られているような、私小説となっています。
主人公は鎌倉に住んでいる作家。目の前の現実の風景が古い故郷の記憶につながり、一気に幼い頃の新潟に引き戻される不思議な感覚に陥ります。神社の裏、新川の河原、秋まつりの山車、近所の芸者、雪、聞こえてくる新潟弁、過去のできごとすべてが生々しく現実と入り乱れて、物語が進んで行きます。コロナ渦中のマスクで覆われた現実と、知っているはずの新潟がどこか遠い町のように感じられて、読み手を物語に引き込んでいきます。
内野図書館には「藤沢周コーナー」がありますので、この機会にぜひご来館ください。(寄稿:内野図書館)
問い合わせ:内野図書館
(【電話】025-261-0032)
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