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市長随想

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新潟県柏崎市

■夏の『フォレスト・ガンプ』
市長 櫻井雅浩

平成2(1990)年8月3日、私はネパール・カトマンズ、1泊500円のゲストハウスにいた。16歳の青年シャキヤが朝刊「ライジング・ネパール」を片手にやってきた。「イラクがクウェートに侵攻した!」湾岸戦争が始まった。
柏崎に戻り、33年が経ち、久しぶりに1995年公開の映画『フォレスト・ガンプ』を観た。「あまり賢くない」が、特別で、しかし純粋な人生を「走った」男の物語である。演じたトム・ハンクスのモノローグが「美しく」、ベトナム戦争をはさんで、恋人、親友、上司である隊長、そしてママの言葉が縦糸、横糸綾なす。
「前に進むには過去を捨てなさい」「人生は運命か、偶然か」「僕は疲れた。家に帰る」と映画は最愛の女性との短い結婚生活を描き出し、エンディングに向かう。
繰り返し観てきた黒澤明監督『白痴(はくち)』で主人公が障がいを負うことになったきっかけは戦争であった。邪悪なものが純真さを導き、多くの人を魅了し、同時に悲しみをもたらした。
『ディア・ハンター』も好きな映画だ。ベトナム戦争の狂気、残したトラウマ。劇中で流れる曲「君の瞳に恋してる」からは本来の明るさ、テンポは感じられず、哀感さえ漂っているようであった。昨年来のウクライナ情勢も現実である。他人事ではない。日本は約80年前、戦争当事者となり、尊い命が奪われ、奪った。満州柏崎村という胸の痛む歴史もある。私、私たちがよく考えなければならないと思う。

さて、『フォレスト・ガンプ』のママによれば「人生はチョコレートの箱のようなもの。開けてみないとわからない」そうだが、我が家では私が開けたときには既に空っぽである。でも懲りずに開けている。

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